はじめは遊びだった。っていうか罰ゲームだった。
トランプの賭けによくあるパターンだ。負けたら誰かに嘘の告白をする。誰ってこだわりなんか特になくて、そこらへんにいた奴に。
告白される側だって大抵は罰ゲームってことをわかってて、軽くあしらってはい終わり。
でも、君は違ったんだ。
「んー…良いよ。」
「……え?」
「だーかーら、良いよって言ったの。よろしくね、彼氏。」
え、ちょ、こいつなに言ってんの?
さっきトランプやってたの知ってるよね?ばっちり同じ教室にいたもんね?
それに、はっきり言っていっつも友達に勝てない俺の罰ゲームはクラス内で当たり前のような存在になっているはずだ。
みんなノリで笑い飛ばしてくれるのに、なんで?
“ごめん、これさ、罰ゲームなんだ。”
こう言って謝るつもりだった。というより謝って断らなきゃいけないと思った。
だって、君に甘い感情なんてこれっぽっちも抱いていなかったから。実際問題君のことなんて名前くらいしか知らなかったし。
でも、俺ったらさ。
「ほら、じゃあ帰ろう?」
さっさと帰り支度を済ませて俺に手を差し出す君の笑顔があまりに、あまりに魅力的で、まるで吸い込まれるみたいに見入ってしまって。
「……うん。」
一目惚れって本当にあるんだな。いや、二目惚れ?
もうそんなのどうだって良いや。
なんとなく肯定をもらったからとか今更引き返せないからとかじゃなくて、本当に恋に落ちて君の手を取ったのは運命だって思ったんだ、なーんて。
悪魔のカードはキューピッド
(ジョーカーさんに感謝、だね?)
20091116 しろ
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