恋に弾む乙女心


「だって朔!こいつ執行部でもないくせに毎日生徒会室に入り浸りだぜ?」
「別に良いじゃん。実は生徒会室って誰でも入って良いとこだし。」

まるでこの部屋から凛太郎なんていなくなったみたいに、朔くんだけが私の目に映る。
少々暑苦しい凛太郎とは違って爽やかで、おまけに人当たりも柔らかで。

「それより書類!あと凛太郎のサインだけなんだけど。」

そんでもってこの生徒会をまとめる統率力と大きな責任感。
どうぞ惚れてくださいって言わんばかりの素質を持ち合わせた彼をどうして放っておけるだろうか。いや、できる人がいるなら教えてほしいくらい。

まさに私の好みのど真ん中。ハートをずっきゅん。ストライクなのだ。

「…りょーかい。」

さっきまであんなにうるさかった凛太郎もさすがに朔くんの言葉には静かになって、あの今にも襲ってきそうだった勢いはどこへやら。しかも。

「あ、梨子ちゃん。」
「は、はいっ!」
「いつでも生徒会室に来て良いからね?」

朔くんからこんなにも優しい言葉が、しかも極上の笑顔つきで。

…ああもう死んでも良い。

凛太郎が気に食わなさそうな顔でこっちを見てるけど、もうそんなの見えないふりだ。いや、実際見えてなんかない見えてない。

明日からは毎日でもここに来よう。そう心に一人誓った。


(乙女はなんとしてでも恋を追いかけるものよね!)

2010/02/28 23:16





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