ある神父A氏の主張(青の祓魔師) | ナノ
0.5
きつくも無く、かといってゆるくも無い微妙な傾斜の坂を息を切らせながら、珍妙な格好をした男が上っていた。ひいひいと、息で呻きながら上っていく。端から見れば、なんと情けないと言われそうな有様だが、彼が今目指している場所に行こうとすれば誰でもこうなるであろう。なんせ、彼は今の場所に至るまでに階段あがってだ。そんな険しい道のりを徒歩であがってくればどんなに体を鍛えた人間でも辛いものがある。
「ハァ……」
 坂を七割ほど登った所で目的の建物である教会が半分ほど見えてきた。やっと見えてきた目的地に男は一息つく。かぶっているシルクハットを軽く浮かせてかぶり直すと、ポケットから派手なハンカチを取り出して額に浮く汗を拭った。
「全く……」
 なぜこんな小高い丘に教会なぞ建てたのだろう。もっと町の中に立てればいいものを、わざわざこんなへんぴな土地に建てるなんて、物好きもいいところだ。きっと通う信者達も苦労しているに違いない。全く迷惑な話だ。心の中でそう悪態をつきながら乱れた息を整えた。動悸と呼吸が粗方落ち着いてきたのを確認し、帽子をもう一度かぶりなおす。使ったハンカチを丁寧にたたんでポケットへと入れると道の続きを踏み始めた。歩くごとに左右の司会が後ろ側に流れていく。緩やかに頂上へと伸びていく長い坂を歩きながら、ゴルゴダの丘を登るキリストはどんな気持ちだったのだろうと柄にも無いことをその男、メフィスト・フェレスは考えていた。

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