お題1(花言葉) | ナノ
 読んでいる小説に”自由”という文字を見つけ、レイトンはふと彼を思い出した。自由という言葉は彼のためにあるような言葉だ。東洋の国にある天衣無縫というのもきっと彼のための言葉だろう。まさに、彼はそういった言葉の権化のような存在である。
 彼と友好関係を持つようになって早数年が立つが、本当に彼自由人だった。楽しいことは何だってやりたがるし、つまらないことはあまりやりたがらない。端から見れば随分常識はずれの人間だろうが、私は大して気にならなかった。確かに、彼の奔放さに振り回されることもあったし、それが原因で何かしらの事件が起こったりしたが、それも、もう笑い話だ。今思えば巻き込まれている最中も何だか楽しかったような気もする。
 あんなこともあった、こんなこともあったかと思い出に浸っていると突然部屋のドアが叩かれる。リズムをつけたあの独特な叩き方は間違いなく彼だ。はて、会う約束をしていただろうかと考えたが、自由人の彼のことだ。また思い立ってふらふらとやって来たに違いない。今日はもう大切な用事もないし、彼と話するのも悪くはないだろう。
 読みかけの本にしおりを挟むと適当な本棚に戻す。そして、依然叩かれ続けるドアのノブを捻ると、全友人のうち一番気まぐれな彼が屈託のない笑顔で立っていた。


猫とは即ち

1/23:猫柳(自由、気まま)
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