SHORT-2

●受け流すだけの器量もない
●安寧に追い縋る
●さんざめく綺羅星の歌
●永久にはあらねど幾億の夜
●その滅びを知る日まで、共に
●覚め遣らぬ夢路にて
●ないとはいえない
●昔きみがそうしたように
●戸惑いがちな天秤に尋ねた
●まだ、背徳ではない




●西日を抉る悲愴
●この恋はひそやかに離散する
●哀願の女神の胸中
●矢尻には涙の毒を
●飛花落葉を司るひとへ
●朝焼け、金星は滲み
●昼夜跳び越す僕の千里
●煌煌と光ワルツ
●孤城の内側にいる
●さえずり連弾明日はくもり



飛花落葉
:絶えず移り変わる世の中のはかない事のたとえ。



●有機輪唱
●脈拍と爪痕
●エンジェルリクルート
●月の夜祈る乙女
●リアリティノアリカ
●理性が十退いた
●麗し一縷は匕首の上
●箱舟を満たせば水葬
●真実育む二枚貝
●選択枝空を隠す樹海



匕首
(ひしゅ)
:つばのない短剣。懐剣の類。あいくち。



●ゆるりおさえて隠す視線
●ピール・ピアノから始まる
●口元で咲く春、密やか
●その糸は細く弱い
●ひとひらでも届くように
●安息を、あなた方に永遠を
●これより君は聖なるもの
●雲居に待つアメノイラエ
●星を積み上げて、霞むまで
●この傷跡が消えたら



ピール・ピアノ
(peal piano)
:弱い、やわらかい鳴り響き。(造語)

雲居
(くもい)
:雲のかかっている所。大空。

アメノイラエ
:天の応え。



●この降るつぶてが糧となり
●いばらにも蕾がつくのだ
●君に朱の御加護を
●爛漫には遠く、されど染む百
●福音は成層圏から来る
●水晶に棲まう天象儀
●宝石の道千夜を照らす
●来世も咲かぬ象牙蕾
●以て天上転花を降らす
●君のための詩人が捧ぐ



天象儀
(てんしょうぎ)
:プラネタリウム。

天上転花
(てんじょうてんげ)
:天の上を転がる、美しい花。(造語)




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