ぴしっと、ものさしでも入れてんじゃないかってぐらい真っ直ぐ伸びたアイツの背中。
歩く度に踊る金色の髪。ちなみにすっげぇサラサラ。

そんなアイツの後ろ姿を発見した俺は、その背中に迷うことなくタックルをかました。


「ひーよし!」

「…っ!?」

「久しぶりー」

「…っ切原…お前なんでこんなとこにいるんだ」


タックルをかましたついでに背中にべったり張り付いた俺を引き剥がしながら、日吉は眉間に皺を寄せて首を傾げた。
そんな日吉を無視して日吉の眉間の皺をぐにぐに押していたら、全力で引き剥がされたうえに頭を叩かれた。

叩かれた箇所を撫でていると、日吉は俺の頬をつねりながら訊ねた。


「で?なんでこんなとこにいるんだ?」

「いやー実は…迷ったんだよねー」


にこにこと笑いながら言った言葉に、日吉は白い目で俺を数秒見た後、踵を返した。


「え!?俺放置!?」

「…」

「ちょ、待って日吉!待って!せめて駅まで案内して!」


歩き出した日吉の背中を追いかけて制服の端を掴んで頼むと、日吉は盛大なため息を1つ吐いた後、小さくこっちだと呟いて歩き出した。
どうやら案内してくれるらしい。


「さっすが日吉!優しい!」

「黙って歩け」

「えー?黙って歩いてたら楽しくないじゃん」


サクサクと歩いていく日吉の横に並んで歩く。
黙って歩けとか何とか文句を言ってくるけど、話しかけたらちゃんと返してくれるし…日吉は良い奴だ。
ほぼ無表情だし言葉は棘だらけだけどな。

なんて1人心の中で思っていれば、前方に駅っぽい建物を発見。


「あ、日吉。質問質問」

「なんだ」

「青学行くならさ、どの駅で降りたら良いわけ?あ。次いでに駅からの道のりも教えてくれねぇ?」

「…は?青学?」

「おぅ、青学。いや、実は青学に行こうと思ってたら迷ったんだよね〜」


ははは〜と笑って日吉を見れば、すっげぇ憐れむような目で見られた後、めちゃくちゃめんどくさそうな顔をされた。
え、なんで?


「ひ、日吉?」

「…お前がバカだってのは知ってたが…ここまでバカでカスでバカでめんどくさい奴だとは思わなかった」

「はぁ!?」


いきなり罵声を浴びせられてわけがわからなくなっている俺を日吉は再度バカ呼ばわりしてから、言った。


「バカ…じゃなくて、切原」

「いや、今思いっきりバカって言ってたからな?」

「黙れバカ。…青学なら、さっきお前が俺に体当たりを喰らわせた近くだ」

「またバカって言っ…は?」


日吉のバカ発言にツッコミを入れていると、なんとも驚くべき事実が耳に入った。

青学が…俺が日吉にタックルかました近く…?
え、それって…俺迷ってなかったってこと?
…つーか、駅まで来たのってすげぇ無駄足だったってこと?


「………なんで!?」

「お前が周りを見てなかっただけだろ」

「いや、確かにそうかもしんねぇけど…!」

「うるさい」


日吉の言葉がさっきよりも数倍刺々しい…!しかも殴られた!

日吉の冷たい態度と、今の状況に思わずため息を吐いて項垂れてしまった。
そのまましゃがみこんであーうーと唸っていると、小さい舌打ちと同時、背中を蹴られた。


「痛っ!なにすんだよ!」

「黙れバカ。…青学、行くんだろ」

「…は」

「早くしろ」


そう言ってスタスタとさっき来た道を戻り始めた日吉に少しの間ポカンとしていると、くるりと振り向いて置いてくぞと怒られた。
そんな日吉の言葉に慌てて立ち上がり、日吉を追いかけた。


「ちょ、日吉!早い早い!」

「知るか。さっさと歩け」


俺が追いつきそうになったらわざとスピードを速めて歩く日吉の背中を見ながら、小さくごめんと呟いた。
日吉にだって用があったんだろうに、迷子の俺なんかを拾ったばっかりに迷惑かけたこと、ちょっとは反省しているわけだよ俺も。

面と向かっては絶対に言わないけど。
日吉俺のこと殴ったし蹴ったしバカ呼ばわりしたし。

でも、まぁ…一言感謝の意でも述べておきましょうかね。


「日吉、今日はサンキューな!」




迷子案内係
(…次迷ってももう案内しないからな)
(そう何度も迷うかよ!)
(あぁ、迷うんじゃなくて乗り過ごすのか、お前の場合)
(ぐっ…!)




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謝罪

沙螺様長い間待たせしてしまいすみません!(>_<)
果たしてギャグと呼べるのか怪しいのですが、如何でしょうか…?

ギャグ要素が足りないんだよ!等々ありましたら遠慮なく言ってください!
日吉の頭をアフロにする勢いでギャグ要素を増やしますので!


それでは、リクエストありがとうございました!



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