氷帝学園男子テニス部レギュラーには、跡部さんの気分によって行われるゲームがある。


「番号ーっ!1!」

「2ー!」

「さぁ〜ん」

「4だCー!」

「5ー」

「…6…です」

「7」

「…8」

「フフッ、9」

「うむ、私が10だ」


毎回あのゲームが始まる前に行われる点呼。
今日の俺たちに上下関係というものはない。
力こそが全てだ。
あちこちに下剋上のチャンスが転がっている、ということでもある。


「今回から萩之助と榊監督が仲間に入ることになった。萩之助は審判、監督は選手だ。それに伴い、樺地は記録に回る」


増員に伴う多少のルール変更を淡々と述べる跡部さん。
このゲームは、点呼のときに言った番号でチーム分けをする。…まぁ、毎回同じ番号で同じチーム分けなんだが。
一応、誰が何番か説明しておく。

1番は、言わずもがな跡部さんで、2番は向日さん。
跡部さんはリーダーで、向日さんは副リーダーというポジションにいる。
3番忍足さん、4番芥川さん、5番宍戸さん、6番樺地、7番鳳、8番が俺となっている。
あと、増員された9番は滝さん、10番は榊監督だ。


「…くれぐれも、怪我はするな」

「じゃあ、これから15分の作戦会議!15分後からゲーム開始!以上!」


副リーダーの言葉で、奇数番と偶数番に分かれてゲームについて話し合うことに。
俺は8番だから偶数番、副リーダーのチームだ。
…監督と同じ空気を吸うのは嫌だが、奇数番もといカップルチームには混ざりたくないので我慢しよう。


「ではこれより、偶数チームの会議を始める!先ずは…日吉。今までの対戦結果を報告」

「…はい。今のところ、11対9で俺たちの負けです。どの試合も後半のスタミナ切れが原因かと」

「うーん…やっぱり今回も短期決戦でいくか」

「そうですね」

「じゃあ短期決戦で!次は配置だな…何かやりたいものとかあるか?」

「はいはーい!俺、跡部を再起不能にしたEー!」

「…頼んだ。再起不能にしたら他のヤツらの目眩ましもよろしく」

「はーい!」


着々と作戦を練っていく。
4つ目の作戦を考えついたところで、作戦会議終了のアラームが鳴った。

いよいよ、恐怖のゲームが幕を開ける。


「おい向日。今年は負けねぇぜ?」

「俺達だって負けねぇよ!」


リーダーと副リーダーの睨み合いを横目に、樺地と滝さんが配置につく。
無論、俺たちもだ。


「跡部。準備出来たよ」

「…こっちも、準備…出来ました…」

「よし。只今より“テニスボールでドッジボール!?〜怪我をしたなら病院へ!死なないように気を付けて!!〜”を始める!」


パチパチと拍手が起こり、ゼッケンと1チームに10個のテニスボールが渡される。
1チームに10個ということは、全部で20個のテニスボールがこの場にあることになる。


「ルールは最初にも説明したが、頭に当たったものと、ワンバンしたものはセーフ、それ以外は当たったら即アウトだ。バリアの使用は前半後半合わせて2回まで」

「線からはみ出して投げたものはノーカウントだからな!」

「では、萩之助の合図で試合開始だ」


跡部の言葉に、ごくりと誰かが唾を飲み込む音がやけに大きく響いた。


「準備はいいかな?じゃあー……始めっ!」

「どるぁぁぁぁあ!地獄に落ちやがれ監督ーっ!」

「…なっ!?」


始めの言葉と同時に、監督に向かって思いっきりテニスボールを投げつける宍戸さん。
投げられた球は、見事に監督の鳩尾に入った。
相変わらず宍戸さんは、好投手になれるのではないかというぐらいのスピードとコントロール力がある。


「監督失格!速やかにコートから退場しなさい!」

「クソクソ!使えねぇ野郎だぜ!」

「挽回してやりましょう。…芥川さん、アレを」

「まっかせといてー!」


樺地に拾われ、コートから追い出された監督を哀れむでもなく、作戦A・A・Mを開始することにした。
作戦A・A・Mとは…


「俺様の美技に酔いな!」

「あとべぇー…俺、痛いのは嫌だC…」

「!うっ…」

「…ボール、投げないでほしいな…だめ?」

「うぐっ…」

「喰らえ跡部!」

「!ぐはっ…!」


跡部を、芥川が怯ませて、向日が攻撃。の略だ。
作戦A・A・Mは無事成功。
跡部さん、さようなら。


「跡部失格!直ちにコートから退場!」

「くっ…俺様としたことが…!」


樺地に呼ばれて悔しそうにコートを出ていく跡部さん。
そんな跡部さんをザマーミロといった感じで見送る向日さん。
その時、向日さんに向かって飛んでくる黄色い球が。


「危ないがっくん!」

「…えっ?」

「…っく…」

「ジ、ジロー!?なんでお前…!」

「が、っくん…俺の、分も…生きて…」

「ジロー!」















「…なんですかこれ」


忍足さんから渡されたノート。
いろいろとツッコミたいところはあるが、とりあえず今は我慢して、このノートは何なのかを聞いた。
忍足さんは待ってましたと言わんばかりに、目をキラキラと輝かせて答えた。


「新しい漫画のストーリーやで!」

「なんで俺視点なんですか」

「えー?…日吉な気分やったから?」

「…地球の為にも、一回逝っておきますか?」

「え、なんでそうなる?」


ぐしゃりと変な話が書いてあるノートを握り潰し、忍足さんを地獄行きのバスに乗せてやった。





THE GAME
(侑士ー?…って、侑士何で死んでんの?)
(地球平和のためです)
(ふーん。んじゃ日吉!ラリー付き合え!)
(お手柔らかに)


END






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謝罪


お待たせしました!
そして…すみませんっ
allということでしたのに、喋るキャラがかなり偏ってしまいました!(>_<)
ギャグなのかも怪しい感じになってしまいましたし…。

ここは納得いかねぇ!等ありましたら、バシバシ言って下さいね!
全力で加筆修正しますので!


それでは、リクエストありがとうございました!(^^)



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