ジリジリと照りつける太陽が、俺たちの体力を奪っていく。
「…あっついなぁ…大丈夫か?」
体力的にも精神的にもキツい状況なのはこの人も同じはずなのに、この島で再会したときからずっと、俺を気にかけてくれる。
「…なんで、俺に構うんスか?放っとけばえぇやないですか」
「アホやなぁ…大事な後輩がケガしてるんやで?そんな後輩を見捨てられるわけないやろ?」
当たり前のようにそう言ったこの人は、この島に来る前と何も変わらない笑顔を、俺に向けた。
「…ほんま…アホな先輩ですね」
「なんでそうなんねん!」
「事実やないですか」
「どついたろか」
この人は何も聞いてこない。
どうして俺がケガしているのか。
どうして俺の持っているナイフが血塗れなのか。
この人は何も聞いてこない。
ただ、何も変わらない笑顔を俺に向けるだけ。
「…ほんま…変わった人ですわ…」
「ん?なんか言うたか?」
「何も言うてへんですよ」
…俺は罪を犯した。
一生、どうやっても償うことのできない罪を。
そんな今の俺に、優しくされる権利などない。
あなたのその優しさが、
(汚れた俺の心に)
(深く深く)
(突き刺さる)
(罪を償えとでも言うように…)
END