…ずっと、羨ましかった。
1人先にレギュラーになったアイツが。
あの人とコートに立てるアイツが。
俺はずっと、羨ましかった。
アイツみたいになりたかった。
「…ひ…よし…」
「…なんだ?」
「…ごめ…ね…」
一言そう残すと、アイツは困ったように眉を八の字にして笑い、そのまま動かなくなった。
…俺の撃った銃で、アイツは死んだ。
「…なんでお前が謝るんだよ…」
動かなくなったアイツを見ながら、ポツリと呟いた。
俺が、俺の欲のためだけに殺したのに。
謝らないといけないのは俺の方なのに…。
『ひーよし!これから一緒に頑張ろうね!』
不意に、テニス部に入部した日のアイツの言葉が浮かんだ。
あの日、一緒に頑張ろうと誓った友を、俺は殺した。
「…鳳…ごめん…」
謝ったって、アイツは帰ってこない。
俺の罪は消えない。
一時の嫉妬は、大切な友の命を奪った。
今さらそんなことに気づいてもどうしようもないのに…。
羨望
(1人先にレギュラーになったアイツが、)
(あの人とコートに立つアイツが、)
(俺は、羨ましかっただけなんだ)
END