「…俺たちの友情って、こんなもんだったのかな…」


血を流して倒れたまま動かない宍戸の姿を見て、岳人がポツリと呟いた。



全国大会直前、夏休みの部活中にそれは告げられた。


「…バトル…ロワイヤル法…?」


「そうだ。お前たち氷帝テニス部215名は、バトルロワイヤル法に選ばれた」

「なっ…!監督!一年生も参加なのですか!?」

「あぁ。お前たちは一週間後、政府の指定した島へ行き、そこで殺し合いをしてもらう」


監督は俺たちに淡々とそう告げると、ざわつく俺たちは無視し、すぐにその場を去った。

監督が告げた通り、一週間後、政府の人間が俺たちを迎えに来て、俺たちはこの島に連れて来られた。


「侑士?」

「…ん?」

「ボーッとしてたけど…なんかあった?」

「…いや、なんでもあらへんよ」


俺の言葉に納得いかないような顔をしている岳人の頭を軽く撫でて、俺は岳人と共に森の奥へと歩を進めた。

この島に来て4日。
今までで、ジロー,日吉,樺地,宍戸,  の死を見た。

死を見たといっても、俺たちが見つけた時にはもう、みんな冷たくなっていたけれど。


「…侑士…」

「どないしたん?」


森の中を歩いていると、岳人が沈んだ声で話しかけてきた。


「…俺たちは、ずっと仲間だよな…?」

「…当たり前やろ。跡部も、ジローも、宍戸も、滝も、鳳も、日吉も、樺地も、もちろんお前も、みんな仲間や」


同じものを手に入れる為に、共に戦ってきたのだから。


「…そっか…ありがとう」

「…俺は何もしとらんよ。…何も出来ひんかった」

「ううん。侑士は、俺を助けてくれた。俺に光をくれた」

「…岳人…」

「…侑士、俺…そろそろいかなきゃ…。今まで、ありがとう。侑士に会えて…本当に良かった」


そう言って笑った岳人の頬を、一筋の涙が伝った。


「岳人…っ!俺も、お前に会えて良かったって、思うとるから!」

「侑士…ありがと。…バイバイ」


それだけ言って笑った岳人の体は、ゆっくり消えていった。


「…岳人…」



…俺が一番最初に見つけた死は、岳人の死だった。

岳人の自慢のサラサラの紅い髪が、血で固まってパリパリになっていた。
岳人の死を目の前に呆然としていると、俺の前に岳人が現れた。
…岳人の、魂が。

それから俺は岳人の魂と共に行動してきた。


「岳人…」


岳人。安心していけたか?
俺も、すぐって訳にはいかへんけど、必ずお前のとこにいくから、待っとってな。





prayer
(せめて君だけでも、)
(安らかな眠りにつけるよう)
(祈るよ)


END



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