狂愛/カニバ
愛してる。愛してる。
誰よりも君を愛してる。
だから、傍にいて。
これから先もずっと、傍に。
ガシャッ、ジャラッ…
「離、しんしゃい…っ!」
「なんで?」
「こんなんっ…犯罪じゃ…!」
じゃらじゃらと鎖が鳴る。
嫌々と首を振って涙を零す。
何が不満?
まだ俺の愛は足りない?
「まだ、足りひんの?」
「な、にが…」
「俺の愛が」
ぽろぽろと止まらず零れる涙を舌で掬ってそう言ってやると、びくりと肩を揺らして、ぎゅっと目を瞑った。
あぁ、可愛い。
「怒ってへんよ。大丈夫。愛が欲しい言われて怒るやつなんて居らんやろ」
小さく震える体をそっと抱き締めて囁く。
じゃら、とまた鎖が鳴った。
「…鎖、鬱陶しいなぁ…」
「!…じゃあ、外して…」
「それはアカン」
「…なんで…」
「外したら、逃げるやろ?」
「…っ…」
「自分は俺を困らすんが好きみたいやし。でもあんまり困らされたら、俺が何するかわからへんし。だからダメ」
ぽろり、また、涙が零れた。
何が不満なんやろ。
何がアカンのやろ。
…何で、思い通りになってくれんのやろ。
「…あぁ、そうか」
「…なん…?」
「1つになってまえばえぇんか」
「…え…?」
思い通りにならないのなら、君が言葉だけじゃ足りないのなら、1つになってしまえばいい。
「もう怖がることも不安になることもないで。これからはずっと一緒や」
「…な、に…言うて…」
怯えている彼を安心させるようににこりと微笑んで、彼の唇に自分のそれを押し当てた。
それと同時に彼の胸に刃を突き立てた。
「1つに、なろうな?」
そう囁いて、紅の中に倒れた彼を自分の中に納めた。
ひとつに
(これでもう、)
(君と俺はずっと一緒)