フラジオレット | ナノ













「暑いなー、静雄」
「暑いっすね、トムさん」



 秋とは雖も残暑が厳しい初秋の気候、二人とも仕事もない今日はトムの部屋でだらだらと適当に時間の浪費をしていた。窓は開けているがどうにも蒸し暑いこの部屋で、少しでも冷たいフローリングに這い蹲りながら静雄は言う。



「クーラー、つけないんすか?」
「あー、一昨日から壊れてんだよ…夏の間酷使したからなぁ…」
「マジっすか…」



 ちらり、動かない空調機器を恨めしそうな目で眺めながら、静雄は右手の団扇で火照る顔をひたすらに扇いでいた。汗はとめどなく溢れてきて止まる素振りを見せない。ベッドの上でビールを飲んでいるトムにもそれは同じで、いつものシャツの胸元をだらしなく広げてはぱたぱたと風を送っている。



「あついー…」
「静雄ー、お前さっきから暑いしか言ってねぇべ」



 ずるずると床を張って移動する静雄を見て、トムは苦笑していた。静雄は顔を上げるのも億劫で目線だけでトムを見やる。笑う彼の頬を伝い、さらに汗は首筋へと移ってシャツの中へと消えていく。なんだか、すごく、その、アレだ。静雄は生唾を飲み込んだ。我慢、出来ない。



「トムさん」
「あ?」



 ギシリ、静雄がベッドに乗り上げて、スプリングが悲鳴を上げた。トムが横目でそれを見る。



「トムさん」



 シーツの上を四つん這いでトムににじり寄る。はだけた胸元は上気して、薄く開いた唇からは真赤な舌。サングラス越しの上目遣い、それに下がった眉尻。極めて扇情的。それを意識してやっているとしたらなおさら。それらをしばらく眺めてから、トムはにやりと笑った。



「なんだ、静雄」
「…あつい、っす」
「いいのかー?もっと暑くなるぞ?」
「……っす、」



 汗で湿った静雄の頬を撫でれば、擦り寄るようにして目をつぶる。珍しく積極的な彼ににやつく顔を押さえきれず、トムは残暑も悪くない、と呟いてその雫の伝う首筋に噛み付いた。























(ずいぶんと積極的だなぁ、静雄)
(…積極的じゃ、ダメっすか?)
(…トムさんの理性がダメになりそうだよ)






















うだる頭も求めるはひとつ、





100908

……………………
暑くてお家でだらだらトムシズ。汗とか頬とかにどきどきむらむらしちゃった静雄さん。私の書くトムシズはどうもシズトムっぽい(笑)

この後静雄さんはもっと暑い思いをしながらトムさんにおいしくいただかれましたとさ。










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