フラジオレット | ナノ




※学パロで来神組


















「あークソ、むかつく!」
「まぁまぁ、落ち着いて」
「折原も懲りねぇな」
「殺す殺す殺す殺す…」



 ガタリ、不機嫌な様子で椅子を引いた静雄は、やはり不機嫌な様子で窓際の席に腰を下ろした。頬には擦り傷を作っており、見れば制服も所々鋭利な刃物で切られたような跡がある。賑やかな昼食時の教室には些か不釣合いな不穏な空気を発しながら物騒なことを呟く静雄に、新羅はいつもの笑みを浮かべながら、門田は呆れながらもいつものことと箸を止めることなくコメントを残した。



「あれ静雄くん、お弁当は?」
「あ?あぁ、ノミ蟲に食われた」



 口にして思い出したのか、ギリ、と奥歯をかみ締める鈍い音が聞こえる。新羅は静雄の弁当が彼自身の手作りであることを思い出して、納得と共に意外と子供っぽい友人に苦笑いをしながら弁当箱の中の卵焼きを口へと運んだ。あぁ、愛しい人の味がする、と少々頭の悪そうなことを考えながら幸せに浸る新羅の隣で、空腹も手伝って静雄はいっそう不機嫌だった。



「門田、ソレくれ」
「は?」
「から揚げ」



 あーん、と返事を聞く前から既に貰うつもりで口を開けている静雄に溜息をつきながらも、門田は自分で食べようと思って掴んでいたから揚げを諦めて静雄の口に放り込んだ。舌の上で食べ物を確認すれば、満足そうな顔で咀嚼を始める静雄。



「そんなにおなか減ってるなら臨也のお弁当食べたらいいんじゃない?教室に置きっぱなしでしょ?」
「ノミ蟲の弁当なんか食ったら腹壊すだろうが」
「だからって俺の牛乳まで飲むことねぇだろ」
「悪ぃ門田、うまかった」



 弁当と一緒に机上に乗っていた門田の牛乳を半分ほど飲んで元に戻す。それなのに門田は怒るわけでもなく、もうひとつ、と唇を開いて食料をせがむ静雄の口に今度はミニトマトを放り込んでいた。口を閉じた途端、静雄は眉をひそめる。トマトは好きじゃねぇ、文句あるなら返せ、もう噛んじまった、と半ば口論にも聞こえるやり取りに小さな笑みをこぼしながら、新羅は楽しそうな会話に口を挟んだ。




「なんか、餌付けしてるみたいだよね」
「はぁ?」
「待て、それは俺が"餌付けされてる"方か?」
「どう考えてもそうでしょ」
「よし、歯ぁ食いしばれ」
「ちょ、やめてよ静雄せめてセルティの作った卵焼きを食べ終わるまで待って!」
「どんだけ卵焼き入ってんだよその弁当」
「…半分以上卵料理だな」









「……何コレ疎外感」






 そんな微笑ましいやりとりを教室のドアの影からこっそり眺めていた人影がいたと証言するクラスメイトもいたが、それはまた別の話。






















青春休憩、みんなで昼食。





100502

……………………
学パロで来神組。
ほんのりドタ静をにおわせようとして失敗(笑)実は静雄に「あーん」ってやらせたかっただけだったとかごにょごにょ。

みんなで昼食、と言いつつ臨也ぼっちなのは宿命ですねもはや。










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