フラジオレット | ナノ





※電マガvol13のネタバレ含
※鍋パーティ妄想
※遊馬門というかワゴン組と静雄


















『狩沢・ベアトリーチェ・絵里華令嬢にも認められ、ついに結ばれた門田と遊馬崎。二人の絆を確認した矢先、彼は訪れたのでした。振り返ると、門田と遊馬崎の目の前には細身の、それでいて程よく筋肉のついた長身の男が立っていました。首をかしげる遊馬崎とは対照的に、驚愕に目を見開く門田。そして男は口を開く・・・。「久しぶりだな、門田」「・・・・・・静雄?」』

『あーっ!やめてくださいよ狩沢さん!静雄さん相手じゃどう考えても俺の死亡フラグじゃないっすか!』

『いいじゃなーい、死亡フラグ。シズシズとの戦いで圧倒的なまでに打ちのめされた遊馬崎。ぼろぼろになった彼に門田が駆け寄ります。額からは血を流しながら、それでも遊馬崎は門田に微笑んで見せたのでした。そして腕の中で冷たくなっていく彼を見て、門田の瞳からは大粒の涙が・・・!』

『俺まだ死にたくないっすーっ!!』



「・・・・・・・・・」
「・・・お前ら、頼むから少し黙っててくれ」



 聞けば聞くほど迷走ルートをひた走る、門田、遊馬崎、狩沢、渡草の四人の昔話(出会い編)についに巻き込まれた静雄は、何か不思議な呪文を聞くようにただ首をかしげていた。そして、その横では門田が盛大にため息を吐きながら頭を抱えている。

 セルティにお呼ばれした鍋パーティの席で、門田と静雄は互いの知らない昔話に花を咲かせていた。二人は高校の同窓生であるのだが、高校時代トラブルメーカーだった静雄と図書室での読書を好む門田とでは、こうやって会話をする機会はそう多いものではなかったのだ。現につい先ほど門田は、静雄の上司であり中学の先輩でもある田中トムという男との出会いの物語を始めて聞いた。自動喧嘩人形とも囁かれる彼にもそんな過去があるのかと思うと、不思議と親近感が沸いてくる。そこからの話の流れで、門田は現在行動を共にすることの多い遊馬崎、狩沢、渡草との出会い話を語ろうとしていた。
 ・・・語ろうと、していた所に被せて妙な夢物語を紡ぎ出したのは他でもない、遊馬崎と狩沢だった。



「あー・・・悪いな静雄、出来の悪い冗談だと思って適当に流しといてくれ」
「あ、あぁ・・・」
「ひっどーいドタチン!私の渾身の一作を冗談だなんて!!」
「急に静雄さんみたいなラスボス出したのがいけなかったんすよ、きっと」



 二人の世界を作り上げているものだと思っていたが、遊馬崎と狩沢はこちらの会話にもきちんと耳を傾けているようで、時々口を挟みながらあーでもないこーでもないと騒がしく意見を述べている。
 もはやツッコミ疲れ、ため息しか吐くことのできない門田を見て、静雄は困ったような笑顔を浮かべた。



「なんか、うらやましいな、お前ら」
「・・・大変だぞ、コイツ等の相手」



 この現状をうらやましいと思うのなら変わってやりたい気分の門田だったが、それはそれでまた大変なことになりそうだと先を見越して、門田は自分の気苦労を伝えておくに止めた。それを聞いて、でも、と静雄はぐつぐつと音を立てる鍋に箸を伸ばしながら言う。





「お前、楽しそうだから」





 よっぽどあいつらのこと気に入ってるんだな、と、取った肉を口に運びながら言った静雄は、それきり咀嚼することに集中してしまった。

 面食らってしまったのは門田だった。別に、静雄は今の生活に不満があるわけでもないのだろう。珍しく仕事も長続きしているし、臨也さえいなければこんな穏やかな会話を交わすことだって出来る。それだけに、そんな静雄の目にも自分が羨ましく映ると知って、門田は面食らってしまったのだ。



「嫌っすーっ!俺は門田さんとはラブラブハッピーエンドって決めてるんすから!!」
「えー、死ネタはバッドエンドじゃないよー?」
「俺は生きて門田さんと幸せになるんす!ね、門田さん!」
「え、わっ」



 呆けている門田の背中に、急に遊馬崎が圧し掛かる。振り向けば、自分のすぐ背後で同意を求める遊馬崎と、なにやらメモ帳を取り出して瞳を輝かせている狩沢、それに向こうのソファで首無しライダーに何か熱心に話しかけている渡草が視界に入る。
 そんな彼等を見て、門田はその口元を綻ばせた。





「あぁ、そうだな」



お前らとは、ハッピーエンドがいい。





 「ラブラブはともかくとして」と付け加えると、目に見えて遊馬崎がうなだれた。門田はその姿に愛しさのようなものがこみ上げてきている事を知りながら、両腕を門田の前でしっかりとホールドしている遊馬崎を引き剥がし、それから説教をすべく遊馬崎と狩沢を目の前に座らせたのだった。





 他人の家で繰り広げられた門田の説教は、いつもよりも少し穏やかなものだった。


























(この日常に、"エンド"など無ければ良いのに)























妄想拡がり放題





100418

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ドタチンはホントにワゴンのメンバーが好きなんだろうなぁと思った結果。ドタチンは心のどこかで彼らと離れるのが怖いと思ってるとか。終わらない日常を"妄想"してる、といった具合で深読みするとちょっと切ない(苦笑)
CP要素薄いですが、一応遊馬門ということで(笑)


お題配布元:確かに恋だった
「妄想拡がり放題」










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