フラジオレット | ナノ



『やった!私だ!!』
「うぅ・・・前回ラストでフラグ立ってたんすよ俺・・・」
「・・・まぁ、一番害のなさそうなヤツでよかったな」
「セルティ!僕!僕に命令してよ四番だからぶっふぉ!!」
『番号言ったら意味無いだろバカ新羅!!』
「あーあ、またハズレか」
「・・・・・・」



 各々が好き勝手に発言する中、静雄はもはやため息しか出なかった。
 とりあえず、門田の言う通りセルティなら他――主に臨也や遊馬崎――のような変態的なことは言い出さないと安心して、静雄はおとなしくその場に腰を下ろして指示を待った。
 当のセルティは、新羅を蹴飛ばしてからずっとPDA片手に俯いて、未だ悩んでいる。



『うーん・・・じゃあ、二番が五番の肩を揉む…とか?』



 しばらくして差し出された画面には、そう書かれていた。あぁ、なんて平和的な王様だろう。
 それを見て真っ先に声を上げたのは臨也だった。



「あは、ラッキー。俺五番。さて、一体誰が俺の肩を揉んでくれるのか「俺だ」


「・・・・・・」
「二番」




 平和的、であったはずの命令に名乗り出たのは他でもない、平和島静雄その人だった。




「・・・や、やっぱり遠慮するよ。ほら、俺まだ23だし、肩とか凝ってないから」




 今まで貼り付けていた笑顔を引っ込め、心なしか青みがかかったその額に大粒の汗を浮かべながら、臨也は一歩後退した。いつの間にやら間合いをつめて臨也の目の前に立っていた静雄は、とてもいい笑顔を浮かべながら指を鳴らしている。



「安心しろ、手加減はしねぇ」
「むしろして」





 バキ、とかゴキ、とか骨がずれるような嫌な音の背後では、臨也の断末魔の悲鳴が響いていた。



 声が止んで、機嫌の良さそうな静雄が遠巻きに眺めていたその他の元へと戻ってくる。おずおずと、行き場の無い手を宙で揺らしながら、セルティがそれを迎えた。



『し、静雄・・・その、すまない』
「いい、運び屋のせいじゃねぇ」



 まったく同じセリフを数分前に聞いたはずなのに、その言葉は明らかに違った雰囲気をまとっている。『まさかまたお前が二番を引くとは思っていなかったんだ』等と弁解する文字もどこ吹く風、静雄はセルティの横に腰を下ろすと、まるでほこりを払うかのようにその両の手の平を叩いた。
 そのうち、臨也が肩を押さえながらふらふらと輪に近づいてきた。医者として、新羅は哀れな旧友の元へと慌てて駆け寄る。所見を受けている臨也に静雄は上機嫌な声を投げかけた。



「どうだ、治ったろ、肩凝り」
「・・・肩は痛くないけど、なんでか360度回るようになったよ」
「あぁ臨也、動かしちゃダメだって!」



 明らかにおかしな方向へと折れ曲がる臨也の腕を見て、静雄除くその場にいた全員が苦笑いをした。数分後には、我が身かも知れない、心得ておこう。

 そんな彼らの心境が一致したところで、場の空気は次の一戦へと向かう、張り詰めたソレとなる。不思議なことに、誰もがこの馬鹿馬鹿しさの中で真剣だった。
 またも遊馬崎の手によって差し出された竹串を、五人が一本ずつ掴む。





「じゃあ、せーの!」





 勢い良く引き抜かれた竹串は、きれいな木目の身体を宙に舞わせた。

























Who's gonne be a king?

(あぁセルティ、君に蹴られたこの頬の痛みこそが僕らの愛の証なんだね!)





100403

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やっぱり不憫な臨也が好きなやしろぎです^^彼に幸せになってほしい方はホントにすみません・・・。

それにしても、進行速度が遅くて終わりが見えないこの連載(笑)










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