それは突然だった。
込み上げる浮遊感に、吐き出しそうになった。
気が付いたら私はどうしてか空から地へと落ちていて、地面にぶち当たるかと思えば地面から10メートルほどの高さのところで体がふわりと浮き上がり私はゆっくり、地へと降り立った。
夢かと思った。
そう思うしかなかった。

実際に、これは夢だった。
限りなく、空想に近いものだった。
いつ覚めるか分からない夢。
とてもとても恐ろしい、空想。





―箱庭物語―





そこにいる全ての人間が、私を凝視していた。
全員、まるで忍者のような格好をしていたから、何かイベントでもしてるのかと思った。
そうかと思えば、私は突然誰かに押さえ込まれた。
そして、刃物のような、鋭利なものを首に突き付けられた。
声も出せずにいた。
ただ、恐ろしかった。
何者だと低い、唸るような声で問われても、恐怖で何も言うことが出来なかった。
ガタガタと震えたせいか、刃物が首に少しだけ刺さりぶつりと皮膚が裂けた。
ひ、と痛みと恐怖で情けない声が出てくる。
血が首を伝う感覚に、尊厳も何もかも放りなげてしまいたくなった。
正直、失禁寸前だった。
だけどそれ免れることが出来たのは、尊厳とか言う以前に、人間としての常識範囲や理に大きく反したことが私の身に起きたからである。


「なっ!?」
「なんだこれは!!」


私の体は突然光り始めた。
とてもじゃないけど有り得ない自分の姿を受け入れることなんて出来ずに、私はまるで何かの映画を見ているような感覚に陥り、その自分の姿を客観的に、ただ呆然と眺めていた。
そして私は、意味も状況も分からずに意識を飛ばしたのだ。

目が覚めると私は部屋の中にいた。
布団で寝かされている。
そして周りには、先ほどいた忍者のような服に身を包んだ人たちがいて、私の様子を伺っていた。
わけも分からずに首を捻ると、「目が覚めたのですね!」と眼鏡をかけた男の子に嬉々として声をかけられた。
いつの間にか首には包帯が巻かれていて、手当てをしてくれたんだろうと言うことが分かった。
ただ、状況の何もかも飲み込めていない私が何を言っていいかも分からず、私の隣に座っていた多分この中で1番最年長であるお爺さんに視線を送り、説明を促してみた。

しかし返ってきた言葉を想像を絶するもの。
周りにいた人という人が私に向かい片膝を立て、頭を垂れた。


「先ほどのご無礼、どうかお許しください。ようこそ忍術学園へ。若き、天界へ住まう方。天女様」


ようこそ、忍術学園へ!
そう揃えて発された言葉に、私はただ顔を歪めた。
あまりにも現実離れした光景に、私はまた声を失った。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -