「藤本、あなたコレにそんなこと伝えてどうするんですか」
「あ?なんだメフィスト、来てたのか」


藤本さんからサタンの子を育てることになるかもしれないというとんでもねー爆弾を投下されたあと、見図ったようにフェレスさん登場。
つーかコレって言ったな。わたしのことコレって言ったな。地味に傷付くわクソ野郎。


「こいつはまだなんの力もない。だから言えるんだろうが」
「無事この研究が成功すれば謀反を企てるかもしれません」
「こいつはそんなことしねぇよ」


なぜ言い切れる藤本獅郎。まあその通りですそんな勇気私にはない。こんな年に1、2回くらいしか会わない人間(霊と言うべきか)の性分をもう見抜いたというのか。さすが藤本様一生ついていきます。
ひっそり尊敬のまなこで藤本さんを見てるとすっごく冷たい目でフェレスさんにそれを見られてた。そしてさらに鼻で笑われた。


「失礼、あなたにはそんな勇気はありませんね」
『言われなくても分かってます!』


ていうかやっぱこれってまずい内容なんですよね。それともまだ決定事項じゃないからあまり言いふらせないんですか?強気な口調で言ってみた。
そしたらフェレスさんは心底呆れたようなため息をつく。「少し考えたらわかるでしょうに」可哀想な視線を送られてしまった。すみませんね低脳なもので。一応ランク付けは下級なもので。


「三賢者からは殺せと命が下っているんです」
「グ!?」


三賢者…グリゴリというのは聖騎士よりもお偉いさんの人たち。正十字騎士團の最高顧問だ。
やばい内容とは思ってたけど、本当になんで私にそんなことを言ったんだ藤本このやろう。万が一の時に罪を擦り付けるおつもりですか。


『ひ、ひとでなし…』
「ほうら、コレにはまだ荷が重い」
「でもな、こいつには姉ちゃんみたいな存在になってほしいんだよ」
『姉ちゃんって…私は幽霊ですよ?それに、本気なんですか、それ』


私はまだバイオロイドに憑依した状態で上手く動くことができない。そんなやつがお姉ちゃん?つーかロボットがお姉ちゃんって。
それに、私だって悪魔だけどそれでもサタンの子どもを育てるなんて正気とは思えない。魔王の子だよ。どうやって育てるっていうんだ。


「…武器だよ。お前と同じだ」
『武器、ですか』
「サタンとまともに戦うための、武器をつくりてぇんだ」


武器。私と同じ、武器。私と同じ、悪魔。
なるほどだから私を選んだというのか藤本獅郎。
まあ、そういうことなら私は別に故意にこのことを他に漏らしたりはしないし私にできることなら協力はしよう。できることがあるのかは置いといて。
いや、まあそれにしても、


『お姉さんだなんて、随分と人間らしいですね』
「バカ野郎、俺は人間だ」
『違いますよ』


あ?と少しトーンの低い声で聞き返されたけどもう言わない。私は結構意地が悪い。
人間らしいのはサタンの子の方だ。姉ちゃんみたいな存在になってほしいだなんて、藤本様、一体何を育てるおつもりなんだろう。
私との違いにちょっと嫉妬。そんな気持ちに私の隣にいたフェレスさんは気付いているようだったけど、私はそれに気が付かないふりをした。


06.プファラーにおどれ

それから数週間後、物質界は『青い夜』を迎えた


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