「
いとこ以上、」
なあ、いとこって結婚できるらしいぞ
◆お風呂
沢からの帰り道、夕立でびしょ濡れになった。
案の定、かあちゃんとばあちゃんに叱らる。
「このバカ! 勇気君がいるんだから!」
「もっと早く帰ってきなさい!」
わざとじゃねえし。
オレだって反省してんだし。
勇気の前でそんなに怒んなくてもいいじゃんか。
と思っていたら。
「あの! オレ、オレ……!」
隣にいた勇気が泣きそうになってオレの裾を掴む。
「正義は帰ろうって言ったけど、オレが……」
なんて、庇ってくれちゃうから、もう。
かあちゃんもばあちゃんも苦笑で、お風呂沸いてるから入ってきなさい、なーんて言われて超助かった。
あの二人の説教は長いんだ。
しかも、だんだん話が逸れて来るというオプション付き。
宿題とか、成績の話になる前に終わらせてくれて、ほんと、勇気が天使に見えた。
「え……と、二人で入るの?」
一緒に脱衣所に来た勇気が、今更な質問をする。
「うちの風呂広いから二人でも平気だろ?」
「あ、……うん」
「濡てて気持ち悪くねえの? 脱げば?」
もたもたしている勇気を置いて、風呂に入る。
なんてね。
平気なふりをしたけど、オレも変に緊張してたりして。
濡れたタイルにちょっとこけそうになった。
口から心臓が飛び出るかと思ったぜ。
扉を閉めた後で良かったと、ドキドキする心臓を押さえる。
何となく、格好悪い所を勇気に見せたくない。
さっき、ちょっと言い方がきつかった気がする。
勇気怒ってねえかな、とか、そわそわする。
だってさ、脱衣所、狭いし暑いしむあむあするし。
濡れた服が、あの白い体にぺたっと張り付いてて、何でかドキドキして。
がちゃ、と風呂場と脱衣所を繋ぐ扉が開いて勇気がそっと中をのぞいた。
「そこ、滑るから、気をつけろよ」
「うん」
体に湯をかけている勇気がこちらを見ていないのをいい事に、じっと見つめる。
やっぱり白い。
オレは海パンの所と、半そでの所と、タンクトップのところで日焼けになっててかなり変だ。
勇気は、全身真っ白。
綺麗だなあ。
「何だよ?」
「へ?」
勇気がぼそりと言うから、驚いた。
「見んなよ」
「……わりぃ。……日焼けしなくて良かったなって」
「……うん……」
ぽちゃりと湯船に使った勇気は、やっぱりこっちを見なかった。
怒ったのかなあ。
◇ ◇
正義が、オレを見てる。
ここは風呂な訳だ。
風呂って事は裸な訳だ。
さっきも水着で、似たようなもんだったといえばそうだけど……。
裸って……。
裸って……。
……あんま見ないで欲しい。