「
いとこ以上、」
なあ、いとこって結婚できるらしいぞ
◆川遊び
真っ白い勇気の体にビックリした。
「オマエのがっこ……プールねえの?」
そういや前に、都会のがっこは校舎がビルとか、校庭がないとか、早苗おばちゃんと母ちゃんが話してたな。
プールがねえとか、かわいそすぎだろ!!
「あるよ」
「えっ? うそ!」
「うそって何で。学校だもん、普通あるよ」
え。
だって。
勇気の腕の横に自分の腕を寄せる。
こんがり焼けたオレの腕は完全に茶色。
対して、元から色白の勇気は少しも焼けてない。
「ホワイトチョコみてえ」
「なっ」
なんか美味そうだ。
オレは普通のチョコで、二色並んで、美味そう。
ホワイトチョコって、たまにしか食わねえけど、結構好き。
勇気の腕、甘くて、良い匂いがしそうだよなあ。
すんすん、と勇気の匂いをこっそり嗅ぐと、やっぱりなんだか甘い匂いがする気がした。
……舐めたら甘いのかな。
「日焼けしたら勿体ねえな」
「……日焼け止め塗ったから、多分、平気」
「マジ? あ、だから日焼けしてねえの?」
「……学校のプール、屋内だし……」
「ふおおぉ? まじ? 都会、すげえ……」
まったく想像できないけど、超おしゃれだ。
そうでもない、と言いながら、勇気が水面にそっとつま先をつけた。
そのつま先まで真っ白で、オレと同じイキモノの筈なのに、なんか不思議だ。
パシャリと雫を弾いて持ち上がったそのつま先をじっと見ていると、勇気の視線を感じた。
「……冷たくて」
「ああ! うん。準備体操、ちゃんとした方がいいぞ。足ツル」
清流の水は冷たい。
一緒になってストレッチをしながら、ちらちらと勇気を盗み見る。
さっきの、なんか綺麗だった。
コイツ、去年もこんな白かったっけ?
一緒に泳ぎには来てねえしなあ、こんなに露出しているのを見るのは初めてかもしれない。
あ、小さいころは一緒に風呂入ってたっけ。
覚えてねえなあ。
「なに?」
「あ? いや」
ずっと見てたから、とうとう勇気に変な顔をされた。
「今年は休みじゅう勇気と遊べるんだなって。いっぱい遊ぼうな」
「……うん」
「よっしゃ、泳ごうぜ」
あんまり見てたら怒られちまうかな。
視線を目の前の遊技場に移していたオレは、勇気の白い頬がほんのりいちごチョコみたいになってたのをばっちり見逃した。
◇ ◇
正義の腕が、オレの腕に触れた。
太陽みたいに暖かい腕。
びっくりして、恥ずかしかった。
オレの腕は白くって、細くって。
体だって白くて細い。
正義の真っ黒に焼けた体が、羨ましくて、眩しくて、恥ずかしくて。
ホワイトチョコって意味分からんし!
怒るところなのに!
何も言えなかったのは何でだろう?