いとこ以上、
それなら、両思いだろ?
◆夏祭り

祭りだ!
今年も祭りがやってきた!

鼻歌を歌いながら、布団の上をごろごろごろ。
ニヤニヤしながら寝転んでると、勇気に笑われた。

ふっ。
笑ったな。

「ちょ……正義っ!!? …………ん……うう……ギブギブギブっ!!」

「何か言うことは?」

「わ、笑って、……ごめんって!」

仕方ない。
技をかけた俺の下でもがく白い体を開放してやる。

もー、っとオレを睨む勇気の顔は赤くなってるし、目は涙目だし全然怖くねえ。
腹に当たるグーパンチも優しくて、くすぐったい位だ。

「あ、なあ、勇気」

「うん?」

「明日さ、オレお囃子で太鼓やるから」

「太鼓?」

「うん、六年は、笛とか、太鼓とかやるからさ」

「へえ!」

中学生が神楽を舞う時に太鼓を打つ。

「見てろよ?」

格好よく打つ所を勇気に見てもらおう。
そう思って、手にマメを作りながら頑張って練習したんだから。

「うん。楽しみにしてる」

「ほんとかあ?」

「ふは! ほんと、だって! あ、もう! おもったい!」

隣に寝転んだ勇気の腹の上にダイブして、ギュウギュウと締め付けると、細い腕がバタバタと動く。
それを押さえ込んでいると、苦しそうに唸り出した。

「もう、おりてよ」

「お……?」

ぎゃあぎゃあと騒いでいた声とは違うトーンの落ちた口調。
やばい。
怒らせたか?

そっと体を起き上がらせると、自由になった勇気は覗き込んだ俺から顔を背けるように体ごと蚊帳の方を向いてしまった。

「……勇気?」

「なに?」

「怒った?」

「怒ってない」

「……ごめん、痛かった?」

「痛く、ない。平気」

「調子に乗って、……ごめん」

「だから、怒ってない」

怒ってない、っていう勇気は、こっちを向きはしない。
怒ってんじゃねえの?

うああ、オレの馬鹿。
せっかっくの祭りなのに、勇気を怒らすとか、馬鹿だろ。



 ◇  ◇



顔が、熱くて、どくどくって、心臓がうるさくて。
どうしたら治る?
うあああ、どうしよう。

ため息をついて静かになった正義が、電気を消した。

「……せーぎ?」

「! 何?」

「ホントに、……怒ってないからね?」

暗くなった室内に安心して正義の方に寝返りを打った。
怒ったわけじゃないんだ。
だから、それをちゃんと伝えたくて、心を込めて言葉にする。

そうしたら、マジ? マジで? ああ、良かった〜! って正義がでっかい声を出すから、また杜萌おばちゃんに怒られちゃった。


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