「
みんなのうたうたい」
さびしいカシの木
年上(カシの木)受
18禁
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廃墟のようなその屋敷に、微かに響く音。
何かが軋む様な。
悲鳴の様な。
その音を聞くのは、ただ、空に流れる雲ばかり。
高峰の頂に佇むその屋敷は誰に顧みられる事もなく、幾年も風雨に嬲られた外壁が所々崩れ落ちていた。
人々から忘れ去られたその屋敷。
そして、そこに住まう者。
「ねえ?」
「ん……? っな、に……?」
「辛くない?」
「っへ……あ、あ、……ン……!」
「大丈夫?」
「ンっ! ん! ぁっ……! ン、ぅ……ぁ……っ、はっ!」
筋肉のそげ落ちた細い足を高く持ち上げて更に奥へと猛りきったものを穿つ。
舌ばかりが赤く見える暗い口腔から、紡ごうとした言葉の代わりに意味を成さない悲鳴が漏れた。
足の間から見える顔に刻まれた皺に、深く影が入っている。
歪んだ顔。
辛いのか、苦しいのか、嫌なのか。
聞いたのは自分だというのに、その返答を聞くつもりはない。
派手に嬌声を上げて、俺を強請ればいい。
獣じみた本性を晒した後の気まずさといったら。
眠たいねえ、なんてちょっと掠れた声なのに普段どおりのトーンで話す貴方の体は、俺の陵辱によってまだ淫猥に汚れたままだ。
「まだ、昼間ですよ」
「午睡もいいじゃないか」
「また夜寝られなくなります」
「はは、まあ、それでも構わないんだけど」
やることもないしね、と微笑む貴方にキスをして、その口を塞ぐ。
驚いたように見開かれた目は、絡み合わせた舌を優しく吸うと、優しく細められた。
積極性を増した貴方の舌との攻防に淫らな音が立つ。
きっと貴方は、思っているのでしょう?
俺がこの場を去るその日まで、好きにさせてやろうと。
その日来るでは、俺を愛しもうと。
そんな日は来る筈がないというのに。
貴方に微笑を植え付けた過去に、ほんの少しだけ苛立ちを覚える。
でも、だからこそ、こうして俺を受け入れてもらえたのだと思うと、感謝もしている。
男心は複雑だ。
でもね。
貴方の悪癖。
俺にとって、唯一気に入らない悪癖。
今ではすっかり年をとり
微笑みながら立っている
寂しいことに慣れてしまった
貴方が土に還るその日までに、その諦めの良さ、それだけはどうにかしてやろうと思っているんだ。
覚悟しておいて欲しい。
俺はしつこいから。