「
みんなのうたうたい」
月
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#童謡からの自分的小説
より転載。加筆。
※「痛い」>「尻」の続編
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出た出た
尻が
丸い丸い
まん丸い
盆のような尻が目の前に。
白くてさ。
プリッとしてさ。
これって、もう、触るしかないよね。
かぶりつくしかないよね。
だって美味しそうなんだもん。
ほら、食欲の秋っていうだろ。
◇ ◇
そこはスポーツの秋だろう、エースストライカー。
ほんと、恐怖しかない。
何こいつ?
ってか本当に人間?
日本人?
さっきからやめろと言っているのに、ぜんぜん伝わらない。
うつ伏せの俺の腰の上、足の方を向いて跨って、膝で俺の手を拘束している。
身動きが取れない俺の尻はむき出しで、じっとりとした視線を感じてむず痒い。
なんていうか、こう、触られたほうがマシな位だ。
いや、触られたくねーよ?
ねーけどさ!
荒い鼻息と、ぞっとしない呟きに背筋が凍る。
ホラー映画の、幽霊が出てくる前の、タメ。
あんな感じ。
もういっそ早く! って思うだろ?
「ああ、綺麗……」
うわ言と共に体重が移動して、どうも男が前かがみになって来たらしいと気づく。
「変態! シネ!」
今だ、とばかりに、おれの尻に顔を近づける相手に思い切りかかとをぶつけてやった。
急いで立ち上がると、パンツを持ち上げる。
頭を押さえてのた打ち回る男にトドメの一撃をくらわせたいところだが、我慢だ。
俺の理性、偉いぞ。
間違っても怪我をさせるわけにはいけない。
さっきのは、やむを得ない緊急事態だ。
変態から十分距離をとって回復を待つ。
「何がしたいわけ」
「お尻合いに「漢字おかしいだろ?」なりたい」
頭を抱える。
ゆとり?
これが噂のゆとり世代?
話が通じない人間の相談相手なんてできないんだけど、先輩、無理ッス。
いくら先輩の命令でも完遂できそうにありません。
俺を見つめるトロンとした瞳からは何の感情も伺えない。
尻?
なに?
もう、勘弁してほしい。
OB会の悪夢は忘れたんだよ。
綺麗さっぱり。
「先輩、突き合って下さ「だから漢字おかしいから」い」
勘弁してくれ。