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みんなのうたうたい

春よ来い

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#童謡からの自分的小説
より転載。加筆。

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春よ来い。
早く来い。

歩き始めたみいちゃんが、小さな両手を広げてよたよたとオレの胸に倒れ込んできたあの日から──17年。

この地面を凍らせる雪が緩む頃に、みいちゃんは18を迎える。

──やっとだ。

待ちに待ったその時まで後少し。


18歳。
そう、待っていたんだよ。

18になったら、オレのお嫁さ「いや、ないから」






俺の叔父は変態だ。
かなり重度の変態だ。

ゴリゴリな俺の事を、未だに「みいちゃん」と呼ぶ。
毎日毎日、可愛いねと頬を染めて囁く。

可愛くねえよ?
どこをどう見ても、厳ついからね?


……いやね?
男の癖にふわりと砂糖菓子のように微笑むお前の方が可愛いんだよ?

毎朝毎朝、俺の部屋に忍び込んで、キスで起こしてくる。
耐え切れずに舌を差し込んでやると真っ赤になる。
阿呆だろう。

寝ぼけたふりをしてその軽い体を布団の中に引きずり込んでやると、涙を浮かべて震えてやがる。

何から何まで俺の世話をやく叔父。
本当に甲斐甲斐しい。
弁当なんかも、驚くほど可愛い。
ハートとか書かれてるんだが、開いた瞬間にどうしようかと思う。
どんな顔して食えって言うんだよ。


本当に、変態で……可愛いんだ。
だからさ。
俺が嫁じゃなくて、きっと、お前が嫁だと思うんだよね。


まあ、18になるまで言わないけど。




俺だって大概待ったんだから。


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