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みんなのうたうたい

あしたははれる

大学生→元同級生
失恋
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長かった夏休みも終わってしまった。

久しぶりのキャンパス。
お気に入りのベンチでパックジュースのストローを唇に挟んで弄ぶ。
ポケットのケータイを取り出して、タップ。
『こないだは』のタイトルが付いた未送信のメールを開く。


『ごめん
ちょっとびっくりしてさ

悪かったよ〜(;´・Д・)スマソォ』

うん。
重くはないよな?

『無事、戻れた?
俺も今日から大学。

マジさあ、おまえ、上手くいってもノロケるなよ?
俺、こないだ失恋したばっかなんだから(`ε´)ペッペッ

じゃあな〜
健闘を祈る(b^ー°)』

……平気か?


たったこれだけのメール。
開いては、顔文字を変えてみたり、てにをはを入れ替えてみたり。
一週間も送れずにいる。


夏休みの最後に、と高校時代に仲の良かった友人数人とカラオケに行った。
みんな地方の大学に進学したから、顔を合わせるのは卒業式以来。

一番仲の良かった潤とも、久しぶりの再会。

会って、思った。
やっぱり、俺、潤が好きだわ。


眩しい笑顔も、いっつも俺を気にかけてくれる優しさも。
逞しい体も、一重の目も、でかい口も。
好きだ。
ドキドキして、嬉しくて。
テンションが上がり過ぎて、酒も飲んでないのに酔っ払ったみたいだった。


帰り道、二人でふらふらと駅まで歩いていた。

「……え?」

「悪い、……気持ち悪いよな」

「ヤ…………え、と、マジ……?」

隣の潤の顔を見られない。
絞り出した声が震えてる。

「ん。そう。俺、ゲイだったみたい」

好きな人ができたんだ。
大学のサークルの先輩。
男なんだ、その人。

ぽつぽつと話す潤の声は、数ヶ月前と全く変わっていないのに、知らない人みたいで。
じっと地面を見つめていた。
到着してしまった駅で別れしな、手を振ることさえできなかった。

ショックで。

何で俺じゃないんだろう。
男だから駄目だってあきらめてたのに。
望みがある?
いや、望みが絶たれたんだ。
でも?
でも。




すきだから きみがすきだから
ともだちさ いつも いつまでも




『追伸 また遊ぼうぜ』

送信中の画面から顔を上げる。

ああ、イイ天気だ。
昼からの講義、だりいなぁ。


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