「
みんなのうたうたい」
とんでったバナナ
包容大人×受難総受け
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毛布でぐるぐる巻きの震える体が、逞しい腕にぎゅっと抱きしめられている。
その暖かさがじんわりと心に滲みて、ほろほろと涙が零れた。
「そうか。大変だったな」
静かな声。
ふわりと香る刻み煙草。
ぽんぽんと鼓動と同じリズムを刻む手。
その優しさに、強張った体から力が抜けていく。
「何で……だろ……おれ……」
初めて会ったおれにそんな事を聞かれたって困るだろうに、男は優しく微笑んで頭をなでてくれた。
「君が悪いんじゃないよ。そう、皆ね、きっと、方法を間違えたんだね」
「方法?」
「うん、君を好きだって、伝える方法」
「…………好き?」
男の言葉に涙が止まった。
そんな、好きって……え……?
「弟君と従兄弟君は喧嘩して君を取り合ったんだろ?」
「……うん」
「幼馴染の子がキスしたのだって」
「っ!」
「その同級生の不良君も、そんな薬を使っても、君を手に入れたかった」
「……ン」
震える体をぎゅっと抱きしめる。
体の中心は熱くて汗が滲むほどなのに、肌はゾクゾクと寒気が走っている。
ぼうっとする頭は淫らな欲望に支配されて、理性を甘く蕩けさせて行く。
体験したことのない感覚が怖くて堪らない。
じわじわと攻め寄る不快感と恐怖に、じっと耐えていた。
「……辛いね。……でも……彼らの気持ちも分かるな」
「……な、に?」
髪の毛を梳いていた大きな手が耳を擽る。
ゾクリ。
甘い痺れが背筋に降りて、脳みそがぐらぐらと揺れているみたいだ。
「君はとっても魅力的だから」
よく日に焼けた精悍な顔が優しく微笑む。
ドクンと胸が跳ねた。
俺が魅力的だなんて。
あなたの方がよっぽど魅力的なのに。
「……いけないね。こんな状態の君に触れたくて堪らないよ」
ふっと息を吐きながら困ったような顔をする男から目が離せない。
どくどくと胸が煩い。
顔が熱くて、きっと真っ赤に染まっているだろうと思う。
触れて……くれるだろうか。
どうしよう。
名前も知らない相手にこんな事を思うなんて。
でも。
触れて欲しい。
そう言ったら?
もぐもぐもぐもぐ
たべちゃった
たーべちゃった
たべちゃった
薬が収まっても、どきどきが止まらなくて。
おれ。
どうかしちゃってんのかな。