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労働讃歌



警備員+先生+?
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真夜中の学校は静かだ。

いつまでも慣れない薄気味悪さに背筋がゾクゾクする。
職員室の前を通ると、ぽっと灯るデスクの灯が目に入った。


ああ、また、だ。


そっと覗き込むと、気配を感じたのか、見知った顔が笑顔で振り向いた。

「こんばんは、友則さん」

「こんばんは、佐倉先生。また、ですか?」

「あ〜。申し訳ない。これが済んだら帰ります」

にっこり微笑む顔に、緩みそうになった表情筋に力を入れる。
いかんいかん、仕事中だ。

「もう真夜中ですよ。お仕事に熱心なのは尊敬しますが」

「すみません、友則さんのお仕事をお邪魔してしまって」

「いえ……」

それは構わないのだ。

夜中の警備の仕事は孤独で、こうして話が出来る相手がいる事を嬉しく思っていたりする。
その相手が、自分の好みの相手なのだからなおさらで。

遅くまで仕事をする佐倉先生。
きっと昼間は良い教師なのだろう。
でも、時間外の今はリラックスモードで、それを自分だけが知っているのが嬉しい。

「……お体、壊さないように気を付けて下さいね?」

「! ありがとうございます!」

恥ずかしくて、少し突き放したような言い方になってしまった。
それなのに、佐倉先生の顔には最上級の笑顔が浮かんで、俺の心臓を射抜く。

ちょっと、それは、反則だ。

「じゃ、じゃあ、俺は見回りがありますので……! 校門のキー施錠をお忘れなく!」

「はい。ご苦労様です」

ひらひらと手を振ってくれる佐倉先生に一礼して職員室を後にした。





「は────……」

暗闇に紛れて消えた警備服の後ろ姿に、大きくため息をついた。

「死んでるの気付いてないとか、仕事に真面目とか、もう、超可愛い……何だよ、あのケツ。犯してええええええ」

思わず漏れたでかい独り言に反応してプリントが宙を舞う。
いけないいけない。
取り乱してしまった。

「もちろん、一番はお前だぜ?」

ふわふわと周りを漂う気配が俺の頬を撫でる。

力が弱い彼はいくつもの条件が揃わなければ実体化できない。
まあ、別に実体化しなくたって……。

「うん、今行くよ」

俺の体が少しずつ透明になっていく。
俺の方が彼に合わせればいい。
そうして交わればいいのだから、何の問題もない。


少し耳を澄ませれば、校内のあちこちで気配が動いている。
小さいのやら大きいのやら、馬鹿なのやら危険なのやら。
それから、可愛いのやら。



夜の学校は昼に負けないくらいに、本当に賑やかだ。


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全員幽霊!


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