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労働讃歌



変態金持ちイケメン×平凡
ストーカー 近親
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流石に落ち込む。

いくらバイトとはいえ、急にクビとか。
ひでえよ。


薄暗い公園のア○パンマンに跨って、その冷たいプラスチックの体に抱きつく。
そうか、お前も辛いよな。
力が出なくなるの分かってるのに、遠慮なく食っときながら「助けて」とか言われてな。


平凡で影の薄い俺には、キャバクラのボーイは天職だと思ってたのに。
今度こそ、今度こそ、天職だと。

それがまたクビとか。


「だから、のんちゃんは僕のところに来ればいいんだよ」

「黙れ、元凶ヘインタイカス」

「やだなあ、昔みたいに、『まちゃにいちゃ』って呼んでよ」

「マジ引く」


俺が、30にもなって職業フリーターな訳――イヤ、今は完全無職か……。
くそう。
涙が出そうだ。

すべてこいつが悪い。

俺だって最初からこんなんじゃない。
平凡な大学生だった俺は、必死の就活を経て一般企業に採用された。
が、入社式の直前に内定取り消し。

その後、何とか入った会社でも、クビ。
その次も、その次も。
どこも理由を教えてくれなかったが、その頃には、裏にこいつがいることに気づいていた。

それならば、と引っ越してアルバイトを始めた。
それも現金払いの日雇いや、夜の街。

これはうまくいった。
が、暫くすれば見つかってしまう。

何度引っ越しただろう。
そろそろ、この追いかけっこにも疲れてきた。

「ねえ、のんちゃん、だからさ、お嫁においでよ」

「キモカス」

「永久就職! もう一生クビになんてならないよ」

「ウゼエカス」

てめえの所為だろ。

いったいどういう権力を持ってるんだか。
職業すらよく知らない昔馴染みに胡乱な視線を送る。
知りたくねえけどな!

視線に気づいたイケメンが、アイドルも真っ青な笑顔を俺に向けた。

「とりあえず、ご飯食べに行こうか? おなか空いてるでしょ?」

そう言われて、応えるように腹が鳴った。
収入源が断たれたからな、誰かさんの所為で。

ア○パンマンに抱きつく俺に手を差し出す変態は、まるでおとぎ話の王子様のようだ。

その手を無造作につかんで地面に降りる。
せいぜいバカ高い物をたらふく食わせてもらおうじゃないか。
そして、それから、ベッドで散々甘やかせてもらうんだ。



嫁になんてなりたくない。
俺は正和と対等になりたいんだ。

いい加減気づけよ、バカ兄貴。


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いちゃいちゃしたらいいじゃない!

「クビ回避の代わりに」なんてネタも考えたんですが、何かちょっと暗くなりそうな予感がしたので回避!


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