「
可愛い尻尾が見えてるよ?」
羽
一匹狼朱鷺×真面目ヒト
求愛
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ルールを順守する。
集団行動においては重要な事だ。
どんなに下らないと思ったって、そのルールが存在する理由があるんだから。
勝手な判断で破って良い訳がない。
ルールに何か問題があるのならば、改変すればいい。
それをしないのなら、従う。
当然だ。
だから。
「シュロ君、はい、申告書。まだ提出してないよね?」
「ああ? またお前かよ。ンな、めんどくせえ」
「あ、ちょっと! もう!」
今日も今日とて、違反者の取り締まりに隣のクラスに出向きました。
どうも、風紀委員です。
が。
また今日も摘み出されました。
ボクが小さいからって失礼しちゃうよ。
この学校はヒトと亜種の共学。
亜種は色々な人がいるから、基本的に校則は緩いのだけど、ない訳じゃない。
髪の色を染めたり、化粧をしたりは、当然校則違反だ。
でも、亜種は地毛の色が様々。
そこで必要になるのが申告書なのです。
この色は地毛ですよーって事を保護者に書いてもらう。
それがルールです。
シュロ君の髪の毛は、とても綺麗な白髪です。
僕は、勿論それが地毛だと知っています。
皆も知っています。
でも、ルールがある以上は、従わなくてはならないのです。
その日も、いつもの様に隣のクラスに出向きました。
勿論、申告書を持って。
「おはよう、シュロ君……しゅろ、くん?」
「ん? あんだよ?」
「髪の毛……どうしたの?」
「あ? ああ」
ニッとシュロ君のハンサムな顔が笑ってドキリとします。
その顔にかかる長めの髪の毛が、何故か真っ黒になっていました。
「……そめ、たの?」
「ちげえよ。羽の色が変わる季節なんだよ」
「……ああ! そうなんだ……びっくりした」
白い髪の毛も格好良いけれど、黒い髪の毛が凄く似合っています。
雰囲気も何となくいつもと違うような気がして、何でだろう、僕、顔が熱いです。
と、いけないいけない。
お仕事です。
「……申告書」
「はい、退場」
またしても摘み出されてしまいました。
「あ、オイ。風紀くん」
とぼとぼと廊下を歩いているとシュロ君が僕を呼びとめました。
……僕、だよね?
「コレ、やる」
振り向いた僕に向かってポンと何かを投げてきました。
「え……? コレ……ちょっとシュロ君? 校則違反!」
ボクの手の中にはパッケージに”小枝”と書かれたチョコレート菓子。
ああ、予鈴が鳴っている。
仕方ない、次の休み時間にもう一度行こう。
溜息をついている割には、なんでだろ、僕、顔が笑ってる気がする。
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「羽」のタイトルが霞んでる気がします。
トキは繁殖期に黒い分泌物を出して羽を黒く染めるそうです。
水浴び後が一番黒いそうで。
きっとシュロ君は朝シャン派なんです。
小枝を渡すのは求愛行動です。
分かりづらくて申し訳ありません。
風紀くんも分かってません。
皆に腫れものを触るような扱いを受けるシュロ君に、唯一まともに絡んでくる風紀くん。
ベタになつかれました。