「
可愛い尻尾が見えてるよ?」
蜜
父親×息子
近親注意!
---------------------
大体ね、あの黄色いぬいぐるみのイメージが大きすぎるんだよ!!
ぷくっとしてて。
とろいし!
声、おっさんだし!
下半身丸出しで恥ずかしくないのかよ!!
ぷー!!!
たった少量のアルコールまでここまで酔っぱらうとは思わなかった。
真っ赤な顔をしてまん丸な瞳を潤ませる様子は可愛いけれど、動きが破壊的すぎて近付く事すらできない。
失恋した。
ヤケ酒だ。
付き合え。
女の子の様な可愛らしい外見をしているが、中身は漢そのものな息子が日本酒の一升瓶を抱えて俺の部屋にやってきたのが一時間前。
すっかり出来あがっている。
まったく、誰に似たんだか。
外見は今は亡き妻の若い頃にそっくりで。
……性格もアイツ似だな。
目に入れても痛くない程可愛い息子だ。
「お前は可愛いのにな」
「おう!」
ぼそりと呟くとパッと満面の笑みが振り返った。
「オヤジは良く分かってる!」
バンバン、と肩を叩かれると、驚くほど痛い。
生白い体のどこにこんなに力があるんだか。
そんな所も妻にそっくりだ。
「褒美を進ぜようぞ〜」
「うお、……あ、ちょ……おい!」
俺の上にダイブしてきた体を受け止めて転がると、顔中に酒臭いキスが降ってきた。
キス魔だったか。
久しぶりの息子とのスキンシップが少し嬉しくてされるがままになっていると、むちゅっと口同士がくっつく。
「……」
流石に口は……まあ、俺の方は良いが、息子よ、お前は良いのか。
そっと様子を伺うと、何故だかきらきらした笑顔を浮かべていた。
「……しぃ」
「んあ?」
ぺろりと唇を舐めた息子の表情が妖艶で、びくりと体が強張る。
「モっと……」
ぐいっと押し倒されて、再び口が重ねられた。
閉じた唇を無理やりにこじ開けられ、薄い舌が口内を蹂躙する。
「ンむ……ふ……」
「……ふ っは……ン……」
ぴちゃぴちゃと言う水音と、二人の息遣い。
濃い酒の臭気で頭がくらくらする。
「……蜂蜜、おいし…………」
ちゅっと吸いつきながら唇を離した息子がうっとりと俺を見つめる。
ああ、さっき焼酎をゆず茶で割って飲んでいたから。
冷静にそう考えながら、体は本能のままに息子の後頭部を掴んで引き寄せていた。
「……ン…………ぁふ……ん……」
息子の口内をたっぷり味わう。
トロンとした瞳が俺を映していた。
「……オヤジ、カッコよすぎ……むかつく……」
くったりと体を密着させる息子を抱きしめながら、心の底から妻に謝る。
勿論、一番はお前だと。
--------------------
世界で二番目に好きだと話そう。
あ、ライオンじゃなかった。
息子君はオヤジが大好きです。
そういう意味で大好きです。
オヤジは……どうかな。
ちょっと流されているだけな感じもしますが、押しに弱いオヤジ殿は、いつかきっとパクリと食べられちゃうでしょう。