死神の帰る場所
本編
捧げたモノ05

ずぶずぶと埋め込まれていく長い指に、背中が反り返る。

「うあ……ああ……あ……」

異物感に肌が粟立って、細切れに悲鳴のような吐息が漏れ出る。
私の体はこれから与えられるだろう快感を知っていて、頭の中がそれへの期待で埋め尽くされている。
頭の悪いケダモノみたいだ。

「一度口から出た言葉は取り返しがつかないんだから」

「ん……あ、っひい、い……、ぬいちゃ、あ……や、あ、あ」

「よく考えてから言わないと」

ふっふっ、と短く息を吐きながらゆっくりと引き抜かれていく治仁君の指に体を震わせて絶える。
何か、大事なものを引きずり出されるような奇妙な感覚。
ぞくり、ぞくり、と背筋と脳みそが痺れる。

「っあ゙あ゙ー!! あっ、は、あ、……ヒンっ、や……また、ぁ、ぁ、ぁ……!!」

指の動きが止まってほっとした瞬間、治仁くんの指が勢い良く挿入された。
衝撃で目の奥がチカチカする。
瞬間的に強張った体が徐々に弛緩すれば、また、ゆっくりと指が引き抜かれていく。

ジェルで滑る指に痛みはなく、でも、たっぷりと垂らされたそれのおかげで水音が立つのが恥ずかしい。
じゅぶじゅぶと、イヤラシイよ、この音は。

平気? と首を傾げる治仁くんに一生懸命頷くけれど、平気そうに見えてるんだろうか?
オジサンは必死で、取り繕っている余裕がないのだけれど。

そう、と微かに口角を上げる治仁くんの長い指が、私の頬を擽る。
その優しい動きに心がくすぐったくなって、へらりと顔が緩んだ。

「っう、っア、ア、ア……!」

「ああ、まだ、きついね」

前触れもなく増えた質量に目と口とが大きく開かれる。
指を、増やす時は、言って、欲しいな……。

一本の指を抜き差しされていた時とは全く違う圧迫感に、どうにか体の力を抜こうと努める。
その間も、遠慮を知らない治仁くんの指は私の中を動き回っているからたまらない。
痛いわけじゃないけれど、快感ともいえない。
その一歩手前の、恐怖に似た寒気が押し寄せてくる。

ぐちゅぐちゅというイヤラシイ音と共に与えられるイヤラシイ感覚の予感。

「ここが俺の形を覚えるくらい、藤本さんを抱きたい」

「っナ! ア……あ゙っ、あ゙……ン、そん、な、あ゙あ゙、あ゙」

突然送られたとんでもない一言に、ドクリと心臓がなる。
一気に体中が熱くなって、治仁くんの指をぎゅっと締め付けてしまった。

ああ、どうしよう、気持ちイイ。

背中を走る快感に声を上げてよがる。


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