死神の帰る場所
その後の日常
運動不足は05

目の前の暗い目が僅かに見開いて、すぐその後にほんの少しだけ細められた。
その動きはこの近さじゃなければ気づかなかったかも知れない。

でも、その瞳に宿った光には、気づいただろう。

ああ、治仁くん。
ぞくり、と背筋が震える。
はっ、熱い息が漏れ出る。


「セックスしたい?」

「……った、い」

「そう」

「っう、あ! あ、ぁ……」


ずるりと後ろを引き抜かれて、思わず治仁くんに縋り付く。
微かな刺激を残してなくなってしまった存在感に切なく疼く体を、細い体に擦り付けて甘えた。

「はう、ひっくん……?」

「したいんでしょ?」

「っや、ア! あ、あああ……あ……」

その為にすっかり準備されていたアナルは、治仁くんのペニスを難なく飲み込んでいく。
熱く脈打つそれに犯されて体中に満ちていくのは、幸福感と快感。

「んっう……ふ……あ……」

最奥まで埋め尽くされて動きを止めた治仁くんが、額にキスを落としてくれる。
何の行為もしていないというのに、私の中が蠢いているせいで酷く気持ちが良くて体が震えた。

「……っとろとろ」

ああ、恥ずかしい。
少し嬉しそうに見える治仁の表情から目を逸らす。

「気持ちいい?」

「ん、ん。……あ、ね? っふ、……これ、……これ」

そっと二人の体の間に手を滑り込ませて、鎧を纏ったままの自らのペニスに触れた。
装着された金属が暖かくなっていて、さらに羞恥心が込み上げる。

「とって……?」

かわいそうな息子を、解放して欲しい。
装着する時に小さな六角レンチでボルトを締めていた装着具は、そこを緩めなければ外せないのだろう。

ひくりひくりと揺れるペニスは、いつもよりも赤く変色している気がする。
自分で触れるのが怖い。

「……まだ」

「え?」

「このままで、いい」

「っヒや、あ、……あっ、あっ! あ、んあああん……!」

突然始まった抽挿に慌てて、思わず締め付けてしまった。
出入りする治仁くんの硬いペニスがそこに擦り付けられて、ぴりぴりとした快感が背中を駆け上る。

このまま?

え?
何で?

熱く、ジンジンと高まっていく射精が辛くて、思い切り頭を振る。

「やっアっ! あ……う……っ、ヒ、……イや、ああア、ア!」

イきたい。
イきたい。

先ほどから何度も留められた熱が暴れまわる。

「なっ、……デ?」

苦しくて、気持ちよくて、訳が分からない。
再び涙で滲む視界に写る愛しい顔を見つめると、その口角がくいっと上がった。

「二、三回なら付き合えるから」

「っ……?」

「運動不足、解消しないと」




「っア! っあ、あ゙……あ゙あ゙あああああああああ……!!!」




もう二度と、運動不足だなんて言わない。
その日、私は、そう誓った。


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