死神の帰る場所
その後の日常
運動不足は04

体の内側が熱い。
冷たいはずの無機物にもその熱が移ったのか、私の内側はえぐられるたびに火傷しそうな程熱く感じる。

「っぁ……や、あ、あつっ、はっ、……ふひとっ、く、ぁあ……」

「藤本さん、気持ちいい」

「っひ……いい……」

気持ちいい。

治仁くんが、いつも私を抱いてくれる時みたいな衝撃。
いつの間にか快感を覚えるようになった一番奥に、ずんずんと叩きつけられる度、目の前が白く弾ける。

頭が馬鹿になったようにその快感を追いかけてしまう。

引き抜かかれようとするディルドを締め付け、腰を浮かせて追いかける。
押し込まれれば、イイ所に当たるようにと、浅ましく腰を揺らす。

おかしくなる。

もっと欲しくて。
そんなの、おかしいのに。

吐き出せない欲に辛くて堪らないのに、もっと、と強請ってしまいそうになる。

そんな、そんなのは、駄目だ。

ひんやりとしたシーツにぎゅっと指を絡ませた。

「っあ、……ひ! ……や、あっ!!」

耳を疑うような高い悲鳴が漏れる口は開きっぱなしで、その端から漏れる涎が顎を伝っていく。

みっともない。
きっと私は、とんでもなく見苦しい顔をしているだろう。

「とろとろ」

「っふ! ア、ァ、っア、……んっあ」

私を見つめる黒い瞳が、涙でにじんでよく見えない。
治仁くんの顔が、よく分からない。

「っと、くっ」

「?」


──寂しい。


急に心に浮かんだ感情のまま、長い首に腕を巻きつけた。
そのままぎゅっと力を入れて、私の上に覆いかぶさる治仁くんの頭を抱き寄せる。


そう、別に、拘束されているわけじゃないんだ。
本気で嫌なら抵抗だってできる。

それをしないのは、私がこの行為を受け入れている証拠。

そう思うとまた、恥ずかしくて堪らない。


「はるっと、く……」

「うん?」

「っふ……ぅ……」

酷く水っぽい声が出た。
ああ、泣いていたのだな、と眦を舐められて気づく。


「もう、っや……」


ああ、違う。
嫌じゃないけれど。
本当の本当は、嫌じゃなくて。

喜んでいる。

みっとも無くて、浅ましくて、そんなのが君にバレたら嫌われるんじゃないかと気持ちが悪くなる程怖くて堪らないんだけど。
喜んでいたり、するんだ、けど、ね?


「藤本さん」

「……君の、……」

「?」

「……キ、ミとが、いい……」


でも、なんだか、切ないんだよ。


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