死神の帰る場所
その後の日常
運動不足は02

頭が回らない。

「う、ふぁあ、……あぁ、あ、う……」

下半身が、どろどろに溶けていく。
継続した快感に意識がぼんやりとして来た所に、乳首からぴりっとした快感が走り抜けて、また爛れたように熱い内壁がずくりと疼く。
締め付けてしまった振動する異物に、再び湧き上った快感が全身をビクつかせた。


治仁くんに出会ってから、私は初体験ばかりだ。
そのどれもが衝撃的。
この歳になって新しいことを知るなんて思わなかった。

私の日常はがらりと様変わりして、体だって、そんな、こんな、同じ男に抱かれるなんて、抱かれて喜ぶなんて。
ねえ、びっくりだよ。
もう何度めなのか。
数える指が両手じゃ足りなくなって、わからなくなってしまったけど。
抱かれる度に驚く。
治仁くんに与えられるものに驚く。

そして、その驚きは幸せ以外の何物でもない。

「っう……ん、ん、っぇ、がい、……もっ、も、ぉ、ぁぁぁ、ぁ」

こんな玩具で頭がおかしくなりそうな程に苛まれながらも、幸せだと思う。
これが治仁くんに与えられたものだと思うと、それだけで。

幸せだ。

……でも。

ジッと私の顔を見つめる真っ黒な瞳に、渾身の思いで伝える。
もう、無理だ。
イきたくて、イきたくて。
訳が分からない。

ペニスに付けた物を外して欲しい。
尿道に埋め込まれた細い金属の異物感。
それに接合している二つのリングが怒長したペニスに食い込んでいる。
せり上がる欲望は一滴も漏らすことが出来ず、体の中に渦巻いて自らに牙をむく。
与えられた快感は蓄積するばかりで、もうとっくにキャパオーバーしているよ。


治仁くんがゆっくりと瞬きをした。
分かって、くれた?

「ふ…………っン……」

私の体の中で暴れる物がずるりと抜き取られる。
鈍い音に誘われて見ると、ラグの上に細長い卵形のローターが転がっていて、何ともいたたまれない気持ちになる。

「っわ、おぅ……と」

気を散らせていたら、治仁くんに仰向けに押し倒された。
唇を舐めるのに応えてキスをする。
深く、深く。

「!?」

突然の感覚にびくりと体が固まった。

「はるひと、くん?」

あの、さ。
その、ひんやりとした物は、何?
私のアナルに押し当てられた、それは、何かな?

「っ! っぅ、く。ぁ……あ……」

「まだ、足りないよね?」

「あああああ!!」

無機物が一気に私を貫いた。


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