死神の帰る場所
その後の日常
いつか地球の王子様が03

従兄弟が星野治仁と付き合いだした。
付き合う前から覚悟はしていたけれど、正直煩わしい。

星野に関係する連中が、近場では唯一の肉親である私の周りにうろつく様になった。


中には悪意を持った者もいて、そういった被害から守るためにと、亀岡といる時間も増えた。
それが一番煩わしい。

「疲れてるね」

「そりゃね」

煩わしいけど、仕方ない。
大事な従兄弟の幸せを祈ってやれないような人間にはなりたくないもの。

「慰めようか」

にまり、と口角を上げる仏顔に白い目をしてみせる。

「人に見られる趣味はないわ」

「二人っきりになりたいの?」

ああ言えばこう言う。

この人の部下も大変だろう。
先程、浴室から部屋に戻ってきたスーツ姿の男に同情してしまう。

「亀岡さん」

「ああ」

「服にはありませんでした。携帯電話に発信機のようなものが」

「発信機……ね」

あまり身近ではない言葉に、ぴくりとこめかみが反応してしまった。
顎を撫でる亀岡をじっと見つめていると、ん? 誘っての? と首をかしげる。
笑いすぎて目が開かなくなって、よく見えてないんじゃないかしら。

「レイに恨まれるわ」

「黙ってれば分からないよ」

「女の勘を甘く見るんじゃないわよ」

オカマだけどね、と亀岡が声を上げて笑った。

本当に失礼なヤツよね。
分かっていてデリカシーのない事を言う分、性質が悪い。


……くらり、と眩暈がした。
目の奥、頭の中心に少し熱めの湯を注がれているような、不思議な感覚。
気持ちが悪い。

「……」

「効いてきた?」

「……さいてーね、」

「最近眠れてないんでしょ? 今日はここで寝ればいいよ」

「おそわないでよ」

「寝てる人間にどうこうする趣味はないなあ」

「……どう、だか」

瞼が落ちる。
自慢じゃないけど、私、重いわよ。

気配が動いて、唇に微かな感触。


……だから信用ならないのよ。

「お望みなら、お目覚めのキスもしましょうか」

ふん、それは王子様の役目でしょ。
あなたには荷が重いわ。

「おやすみなさい、お姫様」


ええ。
ぐっすりと、眠らせていただきますとも。


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