会長^2
会長軟禁された
07

左ノ助のしかめっ面に対抗して真面目な顔をしていたら、顔が疲れてしまった。

ぷくーっと頬に空気を入れて皮膚を伸ばす。


「旦那様」

「いやいや、ちゃんと聞いてるよ?」


左ノ助の眉間のシワが微かに深くなった。

それにいち早く気づいた私は、ぷるぷると首を振って姿勢を正す。
痛い痛い。
無言の視線が痛いよ!

笑顔でその拷問に耐える。


「……以上が今回の右助からの報告です。今後はどのようにいたしますか」

「そうだね……、困ったね……」


報告書の表示された端末に、左ノ助のレーザービームの照射対象が移動してほっとする。


おっと、そんな事より、対応を考えないとだね。


私をさらった犯行グループは、勿論雇われ者だ。

人。
金。
物理的に動いたものには必ず痕跡が残る。

その気配を完全に消すには、それこそ物凄い力が必要になるんだけど。

どうやら依頼主は、そこまで強大な相手ではなかったらしい。
加えて、余り頭もよろしくなかったらしく。
そこここに痕跡を残していて、黒幕の正体は早い段階で判明した。


それはいい。

問題は、私のこの体の事だ。



何を投与されたのか、未だ良く分かっていない。

薬を投与した男たちは暴力団の準構成員であるらしいが、今回の事は組とは何も関係ない。
飲み屋で会った男から依頼を受け、その場で報酬と薬を渡された、と言っているという。


「彼らの言葉は信用していいんだよね?」

「はい。右助がそう申しておりましたので、事実とお考えいただいて結構です」


どうやって聞きだしたんだろう……。

ちょっと、気になったけど、聞かないよ!
怖いもん!


「謎の男の正体は?」

「それは調査中です」

「分かりそうなのかい?」

「それはなんとも申し上げられません」


それが分からなければ、薬の事も分からない。
薬の事が分からなければ……。



……この採血地獄から逃れることが出来ない。

うううううう。
辛い。
辛いよ。


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