明日もFull Moon
隣の晩御飯
15

ぽつぽつと隼人が話すに従って、ミっちゃんの顔が険しくなる。
近所の奥様に大評判の爽やか青年が台無しだ。

話し終わる頃には頭を抱え込んで唸っていた。

「ミっちゃん?」

「……馬鹿な子程かわいい……馬鹿な子程かわいい……」

「……てへ?」

呪文を唱えるミっちゃんにへらりと笑いかけると、頬を思い切り抓られた。
目が怖いよ、ミっちゃん。

「過去の失敗は…………ふぅ、もうイイや。しょうがない。見られたのが隼人君で良かった」

「どうも」

溜息を漏らしたミっちゃんが隼人に微笑みかけた。
バカ隼人、そこで顔を赤くしない!

くるりとミっちゃんの目線が僕に戻ると、目がキラリと光る。
いやん、ボクにも優しくして。

「んで? ちゃんと食べられてるの?」

「……週に2回くらい、食べてるよ?」

「はあ!? おまえ、マジで言ってんの?」

「……てへ?」

「ったく……」

ミっちゃんの表情が強張る。

うん、分かってる。
だからミっちゃんには内緒にしてたんだ。

「どうか、したんですか?」

隼人が控えめに声をかけた。

「足りない」

「え?」

「そんなんじゃ、全然足りてないんだ。特に頼通は成長期だし……せめて二日に1回……ボクとしては毎日食べさせたい」

「食べるって……」

「精気……んーと、結局はSEXすることだね。あとは、偏食も良くない。いくら隼人君が好きでも「ええ!!?」

あ、思わず。
大声を上げてしまった。

隼人とミっちゃんがボクに注目する。

ちょっと待って、好きって……。

「ボクが? 隼人を?」

「?」

「ちょっと、ミっちゃん、それはないって〜」

「違うの?」

違う違う〜。
へらへらと笑いながら隼人に視線を送ると「ばーか」と口パクされてしまった。
頭悪いのはお互い様だろ!
べーっと舌を出して応戦するが、ミっちゃんに頭をはたかれてしまった。

「バカやってないで。好きじゃないなら、どうして隼人君だけなんだ?」

「だから、それは、約束したから。さっき隼人が言ったでしょ」

「うん。でも、何でそんな約束守るの? どうとでもなるだろ? おまえ、空腹で辛くないのか?」

辛い。
辛いよ?

だけど隼人を怒らせると、さ。


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