「
明日もFull Moon」
隣の晩御飯
13
ゆらりと体を移動させて、ミっちゃんのジーンズを掴む。
井戸から出てくる幽霊よろしく、ミっちゃんの服を掴みながらずるずると上体を起こすと、柔和な笑顔を至近距離から睨み付けた。
「ミっちゃん!」
「うん?」
ミっちゃんがにっこり笑うから何だか切なくなって、ボクの目に涙が溜まってくる。
えぐえぐと嗚咽を漏らしだしたボクの頭をよしよしと撫でながら急かさずに待ってくれるミっちゃん。
う〜〜〜。
「……おなか、へった……」
「っあー……、えーと、そうだよね……」
折角いただく筈だった隼人の精気を、ミっちゃんに横取りされてしまったボクは、もう空腹で空腹で。
切実なのに、みっちゃん、いまちょっと噴出したでしょう?
酷いよ!
低級なボクはミっちゃんのように能動的に精気を吸い取ることはできない。
与えられたモノをいただくだけ。
欲情すれば自然と精気は漏れ出るものだけど、特にイく時に一気に放出される。
つまり、隼人がイかなきゃ、ボクはおなかいっぱいにならないんだ。
「はいはい、ちゃんとあげるから、泣き止んで」
「……んんー、……ふっ」
ミっちゃんの目が怪しく光って、その赤い唇がボクの口を啄ばむ。
素直に口を開くと侵入してきた淫らな舌が、ボクの舌を擽りながら甘美な精気を流し込んできた。
……隼人の味だ。
蕩けるようなそのご馳走に、ボクは夢中になって吸い付く。
ミっちゃんの唾液と一緒に喉を通っていく濃い甘露は、カラカラの臓腑には刺激的過ぎて少し染みような気がする。
その刺激すら嬉しい。
「……ふ……あぁあ……」
揺ら揺らと腰を振ると、放置されたままだったペニスを尻尾で扱く。
際限まで張り詰めたままだったボクのペニスは、飲み下す精気の魅惑的な効果もあって、あっという間に上り詰めていく。
「アぁっ! ンっ────────ッ!!!」
悪戯っぽく笑ったミっちゃんに胸の二つの突起を引っかかれて、あっけなく果てました。
とっさに手で覆ったのでミっちゃんのジーンズにぶっ掛けずにすんだけど。
……危なかった……。
「……ヨリ……? ……ミチナガさん……」
力の抜けた体をすっかりミっちゃんに預けて多幸感を味わいながら息を整えていると、背後の隼人が小さな声で呼ぶのが耳に届いた。
ああ、そうだ。
隼人を放置したままだった。
ぼんやりと振り返る。
「あんたら……、兄弟で何して……?」
吐き捨てるようにつぶやきながらボクらを睨みつける隼人の眉間には深い刻まれていた。