明日もFull Moon
隣の晩御飯
12

隼人のグラインドが早くなる。
ボクの腰を支える手に力が入って痛いくらいだ。
後ろから聞こえる呼吸も荒い。

そろそろメインディッシュの時間だろうか。

アナルをかき回す隼人のペニスがガチガチに硬くなっている。
濃度の濃い匂いがぶあっと降り注いで酸欠になりそうだ。

待ちに待ったこの時に期待が高まる。
快感に蕩けた内壁もきゅうきゅう締まって、隼人の先端から吐き出される甘い白濁を待ちわびていた。

「!」




ぴたり。




隼人の動きが急に止まった。

「? ……ん?」

どうしたんだろう?
気配が完全に硬直している。




シーツに押しつけていた顔を持ち上げると、視界の端に何かが見えた。
緩慢な動作で視線を上に向けるとよく知った顔が映る。

「あぇ……? ……ミっちゃん?」

出かけているはずの家族がベッドサイドに佇んでいた。

「おかへりぃ?」

快感にとろけた思考のまま口を開くボクの頭を撫でる。

「ただいま。またすぐ出かけるけどね」

「あっ!」

「!!?」

「ミっちゃん! ダメっ! …………あああああ! やだーっ!!!」

ミっちゃんが隼人の顎を掬い取ると有無を言わさぬ早業で口付けする。
硬直したままだった隼人の唇を巧みな舌が割り開く。
そのまま深く潜り込んでいく真っ赤な舌を見ながら、ボクは悲鳴を上げるしかなかった。

だって動けないんだもん!

「っん! ン、む」

流石の隼人もミっちゃんには適わないらしく、されるがままだ。

「あぁぁあ……ミっちゃん……。……あ……ぁぁぁぁ」

ちゅぽん、と水音がして離れた二人の間に唾液が糸を引く。
目の前のショックな出来事に僕は持ち上げた頭を力なくベッドに沈ませた。

立ち直れないくらい、ショック。
ミっちゃんの馬鹿。

「んう」

ずるりとボクの中から隼人のペニスが抜け落ちて、その微かな刺激にひくりと身を震わせる。
ほら、ボクはまだこんなに熱を抱えているのに。

「え……? なんで……」

隼人が呆然と声を漏らした。
すっかり力を失って重力に従う己の分身を凝視している。
先ほどまでは、隼人からこれでもかと巻き散らかされていた色欲の香りがすっかり消えてなくなっていた。

「あーやっぱり、最近の頼通は隼人君の匂いだったんだ」

独り元気なミっちゃんが、うんうん、と頷いて笑っている。


……ボクは怒ったぞ!


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -