「
恋愛デバッグ中」
脇役的事情
06
棹を咥えたままの悟に玉をふにふにと弄ばれる。
妙な感覚はするが、俊明はそこでは快感を得られない。
無反応が気に入らなかったのか、悟の手がそっと玉の奥に侵入してきた。
慌てた俊明が悟の手首を掴む。
「悟さん、ちょっと!」
「ん? 気持ちいいの好きだろう?」
「いや、好きだけど……」
「俺に任せろって」
「いやいやいや!」
「姫さんにネコのアドバイスしなくちゃだろう?」
「う……」
「経験は大事だぜ?」
唇についた唾液を舐め取りながら、俊明の静止を無視する悟に色を無くす。
「やめろって」
「天国に連れてってやるから」
満面の笑みの悟が、俊明に掴まれて引き剥がされた手の、中指と人差し指を、くいくいっと動かして見せてくる。
下品だ。
そんなに気持ちがいいのだろうか……。
一瞬、その気になりかけないでもなかったが、悟にかかればやばい所まで開発されてしまいそうだ。
後戻りできなくなりそうで怖い。
……正直、もう後戻りできないカラダになってる気もするが。
「俺は、悟さんのコレがいい」
しっかりと筋肉でしまった臀部に手をやる。
指を這わせるように内腿をゆっくりなで上げると、悟の瞳が怪しく光った。
「仕方のないガキだな」
「悪い大人に教え込まれた所為だぜ」
「誰だそれは、世の中には悪い奴がいるもんだな」
そ知らぬ顔で惚ける悟を鼻で笑うと、その鼻に噛み付かれた。
「生意気」
「いいじゃん」
「まあ、そうだな、悪くない」
すっと眉を上げた悟が、スラックスを床に落とした。
「……と、悟さん、ここですんの?」
パテーションで囲まれた狭い空間を見回す。
一坪にも満たないスペースに、デスクやラックが配置されている。
今更、下半身丸出しで移動も間抜けではあるが正直落ち着かない。
ノーマルに、ベッドでゆっくり楽しみたい、というのが本音ではある。
「あ、そういえば、今日は御堂さんは?」
このオフィスのボスが見当たらない事に今更ながら気づいた。
同じようにパテーションで区切られたの隣のスペースには誰もいない。
普段から個室に篭りがちで存在感がないので気にもしなかったのだが、いないのだろうか。
「どっちも今更だな」
悟がふっと鼻で笑う。
確かに、確認するのが遅すぎたが。
そもそも仕掛けてきたのは悟なのだから、自分に非はないと俊明は思う。