恋愛デバッグ中
脇役的事情
02

何を思ったのか、悟はスペースの隅から椅子を引き出して座りp
込む。
パテーションの出入り口が狭い為に、通せんぼされてしまった。

二人でいるには息苦しいほど狭いスペースなのだ。
外に出ればいいのに、何を考えているのだろう。

すっと手を伸ばした悟が額の上で括った俊明の前髪を触る。
モニターを見るのに邪魔だから、先ほど結んだのだ。

「大体、28歳でおっさんとか、お前ら28歳に失礼だよな」

「ってか、悟さんは本当はいくつなんだよ」

振り払ってよいものか分からずに、大人しく触られたままいる俊明に悟がおかしそうに笑う。
変わりに、むくむくと湧き上がってきた質問を投げかけた。

「ん? 41だよ、本当に」

自らの真っ黒な髪の毛を撫で付けながら、悟がにんまりと笑う。

若々しい精悍な顔立ちに、服の上からでもそれとわかる無駄のない筋肉で引き締まった体躯。
身のこなしは軽やかで隙がない。
身長だって190近くある俊明よりは低いが、180位はあるだろう。
どこぞのブランドのスーツをスマートに着こなしている。

どこをとっても俊明の知っている41歳には当てはまらない。

これまで、何度聞いても41歳と答える悟を疑りの目で見る。
この狸親父の嘘を見抜くことなどできないとはわかっていても、ただ騙されるのはどうも気に食わない。
大体、悟という名前すら本名かどうか疑問なんだ。

「ホント、何者なんだか」

ちらりと横目で見るとばっちり目が合ってしまった。
にやりと笑う悟に、俊明は蛇に睨まれた蛙の気持ちを痛感した。

「皆さんの税金でおまんま食ってるしがない公務員さ」

「それは……知ってる。前に聞いた」

「じゃあ聞くなよ」

「だって、嘘くさい。似合わねえよ」

「似合わねえって言われてもなあ」

悟を相手にすると、まるで駄々を捏ねているような気分だ。
子供っぽい自分の言葉に、悟が呆れたように笑うのが悔しい。

「国民の奴隷だぜ? 考えただけでゾクゾクするだろ」

にたり、と笑った悟の顔が、目の前に迫っていた。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -