恋愛デバッグ中
脇役的事情
01

年上受け
おっさんの喘ぎ声がうるさいので注意
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俊明は、モニターの中央に開いたフォームを閉じてログアウトした。

黒ぶちの大きな眼鏡を外して、息を吐きながら首を回す。
ぽきぽき鳴って、少しだけ楽になったように思う。
妙に肩が凝っていた。

それが、今週頭が期限だった大量の課題の所為なのか。
それとも、友人を騙している事への負い目からなのか。

溜息が漏れる。


同じ事で何度悩んだか知れない。
一晩中思いつめたこともある。

しかし、いつも「どうしようもない」という同じ結論を出してきた。

今更後悔しても仕方がない。
頭を振ると、明るい色の髪の毛がぱさぱさと顔を叩いた。


「お疲れ様」

パーテンションで仕切られた空間に、質量が増えた。
暑苦しい。

「はい。」

ちらっと声の主を見ると、にやにやと俊明を見ている。
デフォルトがこの顔だから、もしかしたら彼にとっては真顔なのかもしれない。

アイスコーヒーを手渡しながら、男が口の端を持ち上げる。

「この展開でよくうまくいったよな」

「俺は台本どおりにやっただけですけど」

自分の仕事にケチつけられたようで、俊明はムッとする。
嫌々とはいえ、給料をもらっているだけの仕事はしているつもりだ。
苛立ちに任せてストローの端に歯を立てた。

「怒るなよ」

「……別に怒っては……」

男に喉で笑われて、かっと顔が熱くなった。
子ども扱いが気に食わない。

「悟さんが28歳ってのが、一番無理がある気がしましたけど」

椅子に座ったままの俊明からは高い位置にある悟の顔を睨み付けた。

「おいおい、上目遣いは止せよ。その気になる」

「なに、言って……」

舌で唇を舐めて見せてきた悟に、俊明は言葉を失った。

「ふはっ! 真っ赤だぞ」

フリーズした俊明に、悟が笑い声を上げる。
その様子にからかわれていたと気づいて、今度は怒りで顔を赤くした。

「あいつらは、25歳だろ?」

「え?」

「お前は21歳だったよな。あまり歳が離れた設定よりも、近いほうが共感しやすい」

「……ああ」

先ほどの俊明の皮肉に答えてくれているのだろう。
ぶつけようとした怒りの矛先をかわされて、間抜けな返事しかできない。


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