「
老いも若きも等しく」
鎖
駄目中年×純粋新入社員
日常
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昨日もゲームに夢中になってしまって寝不足だ。
PCに向かって仕事をしているふりをしながら、サボり中。
かったるいぜ。
「宮川さん」
「んぁ? どった?」
隣の席の新入社員が声をかけてきた。
ばりばりと無精ひげを掻きながら返事をする。
ちょっと面倒臭い。
悪い子じゃない。
むしろいい子。
でも、パソコンが超苦手。
最近やっと一人でメールができるようになって喜んでいた。
俺がイチからレクチャーして……ほんっとに大変だったんだから……。
また何からやかしたんだろうか。
「このメールはどうしたらいいんでしょうか?」
「ん? なに? 添付ファイル?」
「いえ、何だか困ってるみたいで……」
「は?」
椅子のコロを回転させて、小さな頭の後ろから隣の机のパソコンを覗き込む。
「んー? ……なにこれ、チェーンメじゃん。まだこんなん出回ってんの?」
「チェーン……?」
「イタズラってこと。こんなん消去消去。ポチっとな。はいOK」
ちっちゃい手の上からマウスを握り込んで勝手に操作する。
むにむにすべすべの玉置の手が気持ちいい。
「あ……。じゃあ……、行方不明の子は嘘なんですね? ……良かっ……」
「玉ちゃん、それマジ?」
「え?」
ほっと微笑んだ玉置にびっくりする。
いやいやいや。
普通そんな反応しないでしょ?
玉置がきょとんと俺を振り返る。
……まじか。
純粋培養だとは思っていたが、ここまでとは……!
「玉ちゃん、お菓子くれるからって変なおじさんに付いてっちゃ駄目だよ?」
「やだ、宮川さん。僕小学生じゃないですよー」
あはは、と笑う玉置が眩しい。
「宮川さんにも付いてっちゃ駄目だよ?」
「? どうしてですか?」
正面から同僚が口を挟んできた。
ち。
うるせえ奴だな。
「この人、すっげー手が早いから」
「へえええ! すごい、宮川さんモテるんですねー」
「モテねえよ」
まん丸な瞳に見つめられて尻がむず痒い。
「あ、でも僕、男ですから、平気ですよー」
「わっかんないよー。ほら、手だって握ったまんまだし」
「あ……」
マウスの上に置いたままだった手を反射的に離す。
玉置の頬が紅潮したのは気のせいだろうか。
「宮川さんなら、男でも子供できそうだよね」
あはは、と笑いながら席を立った同僚の後姿を睨み付ける。
勝手なことを言い逃げしやがって。
「……宮川さん……」
「あン?」
「……男でも……子供って産めるんですか?」
真っ赤な顔をした玉置をどうしてくれるんだ。
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宮川は、玉置が可愛くてしょうがない! ってなったらいいと思います。
駄目な中年が過保護に世話を焼くのを想像してウフフしていただけたら嬉しいです。
”玉置の真綿のような鎖に絡めとられた宮川”のイメージを描きたかったんですが、力及ばず・・・。
玉置 22歳
宮川 30代後半
この年齢のこの年の差は、何だか普通に思えてしまって、敢えて「年の差」のテーマで書いていいのかちょっと悩みます。
はじめは玉置が年上の設定でしたが、ちょっとおばかっちょ過ぎたので年下に変更。
天然過ぎるオヤジな新入社員は嫌だな、という個人的な感情が入りました。