「
バケーション」
塗り重ねる思い、色
聞き間違える筈のない愛しい声音に振り返ると、浩紀がサングラスを外して微笑んだ。
「どうした?」
「散歩」
「そうか」
作業小屋に足を踏み入れた浩紀が、中をぐるりと見回す。
そして、俺を見て、くすりと笑った。
「なんか、懐かしい」
「……」
ああもう。
小屋に残る2年前の浩紀の残像にやっと慣れたというのに。
この小悪魔は、仕事中にすら俺の心を掻き乱したいのだろうか。
するりと俺の腰に腕が回されて、至近距離から潤んだ瞳が俺を見上げる。
「雨」
「……」
「降って来たよ。あの時みたいに」
「ああ」
あの時と同じフレグランスに、どくんと体の中心が脈打った。
キスで力の抜けた浩紀の体を、昼寝用のボロボロの布団にそっと押し倒す。
しかし、本当に、異質だ。
できの悪い合成写真のように、浩紀だけが浮いている。
「ここの匂い、好き」
「埃っぽいだろ」
「んー? でも、憲治との思い出の、場所、だから」
首にキスを落とす俺の頭に腕を絡めた浩紀が、ふふっと笑った。
「好きだよ、憲治」
「ああ、俺も、……愛してる」
「ごめんね」
「何が?」
「一目惚れしちゃって」
急な謝罪に顔を上げるとぺろりと赤い舌がのぞいた。
キラキラ光る目を細めた浩紀に、俺も眉をくいっと上げる。
「はっ! そりゃ。悪かったな、男前で」
「! ふ、うふふっ。うん。うん。そうだ、くふっ、憲治の所為だ!」
鼻をぱくりと食んでやると、笑い上戸が埃を巻き上がらせながら暴れた。
それを押し付けてシャツの中に手を差し込んだ。
滑らかな素肌を俺の汚い手のひらが引っかけば、ぴくりと体を震わせて可愛らしい声を上げる。
「あの時みたいにする?」
「んっ!」
「じゃあ、俺、あっという間にイかねえとだな」
「う、ぷ、ぷ! っひああ、あ」
「どうする?」
浩紀のハーフパンツを下着ごと取り去って、足を広げさせた。
「ン、や、ああ、いっぱい……いっぱい、っふ、突いてっ、ほし……」
畑に来る前に俺で満たしたアナルはまだ柔らかく濡れていて、そこを舐めると嬉しそうにきゅうきゅうと蠢く。
全身で俺を誘う浩紀に惑わされてばかりだと、心の中で苦笑を漏らした。