「
弱酸性のくせに」
03
昨夜、散々大井の分身が出入りを繰り返した穴へ向かって、ゆっくりと指が近づいていく。
ここで反応したら大井の思う壺だと分かってはいる。
が、大井の指先はいやらしい。
感じやすい場所をわざと掠めるようにして、性感を煽る。
「……っん……」
吐息を飲み込む音が、思ったよりも大きく浴室に反響した。
ち。
ちらりと大井を伺うと、満足げな笑みを浮かべていた。
ムカツク奴だ。
「……ふ」
イケメンを睨みつけていると指の平が穴に押し当てられて、ぶるりと肩が揺れた。
期待した蕾がうにうにと動いているのが分かる。
自分の浅ましさにショックを受ける。
「ん、あ……っは……」
招待に応じるように、大井の筋張った指がアナルに埋め込まれていく。
喜ぶように迎え入れた穴が、その指を旨そうに食む。
調子に乗った指に浅いところをぐるりとかき回され、その物足りなさに腰が揺れた。
がんがんと奥のキモチイイ所を突いて欲しい。
そんな事は口が裂けても言わないが、体はうずうずと疼く。
「っんぐ……」
指を増やされて、つぶれた声が出た。
…………ん?
??
なんだか……。
痒い?
……ん?
「……ちょ、おお、い?」
「? どうかした?」
動きを止めた大井の腕を掴む。
痛い!
穴が痛い。
ひりひりと、じんじんと、刺激が走る。
昨夜のアレで、どうやら粘膜がやられていたらしい。
充血し、傷ついた部分に大井の指についていたボディソープがしみる。
普段ならあり得ない現象に、俺は戸惑った。
「いたい! から、ちょっと、はなせ……!」
「へ? 何?」
急に暴れだした俺に驚いて、穴から指を抜いた大井が拘束を強めた。
俺の手首を掴む手を振り払おうとするが、より強く掴まれて押さえつけられる。
痛みに脳みそが侵食されて、冷静に物事を考えられない。
一言、大井にシャワーを流すように言えばいいのに、その事すら思いつかずに、とにかく自由になろうと暴れた。
「……あ……も…………ヤダっ! はなせって!」
痛さを紛らわせようと自由になる腰を振るが、ちっとも紛れやしない。
とにかく辛いったらない。
涙で視界の滲んできた俺は、大井の様子が変化している事に全く気付かなかった。