「
奏でて?」
05
洋二が太一との関係を誤解しているのは分かっている。
その事で、怒り、なじるならまだしも、何故こんな事になっているのかが分からない。
耳朶を噛む洋二の白い歯の間から漏れる吐息が熱い。
ハイテーブルにうつ伏せに押し付けられた上体を不自由な両手で支えた秀和の背中に、洋二の体が密着して体温を伝える。
その熱に浮かされた頭では、まともに考える事すらままならない。
「……んン、う……ああっ……」
洋二の右手が剥き出しにされた性器を握りこんで擦っている。
左手は、ぐちゃぐちゃに乱されたワイシャツの中に入り込み、胸の突起を引っかく。
「ああっ、……あ、ヤメ……」
状況はともかく、好きな相手に愛撫されて感じない程枯れてはいない。
大きな手の中の愛息は、大きく張り詰めて卑しく涎を垂らしている。
溢れた先走りでにゅるりと滑りが良くなり、とてつもなく気持ちがいい。
長い指が角度を変えて秀和のイイ所を探っては、そこを何度も刺激する。
「ん、ふあっ……ああ……ン」
胸への乱暴な刺激すら甘く痺れて感じる。
抑えられない声と下半身から聞こえるぐちゅぐちゅと濡れた音とが響くような気がして、居た堪れない。
快感に沈んだこのまま、頭から丸呑みされてしまい。
暗い願望に、ふるりと体が震える。
「よ、じくン……アああ……なンっでっ」
何とか体を捩って後ろを見ると、色気を放つ男前の顔が直ぐ傍にあった。
その目が見開かれる。
「なんで……泣いてんだよ……」
「……ん、ふえ?」
快感に毒されて緩々になった涙腺が決壊していたらしい。
言われてみれば、視界がぼやけて、鼻の奥がツンと熱い。
「っち、そんなに兄貴が良いのかよ?」
自分が泣きそうな顔をして、洋二が秀和の頬を舐める。
「? ちが……」
「そろそろ、兄貴、出勤してくるかもな」
「ン! ひ、あああああぁぁぁっ……ンハアっんっ……」
首筋に歯を立てられてゾクリと走った甘い痺れに背中が反り返る。
再開された性器への追い詰めるような愛撫に、秀和は一際大きな声を上げた。