「
誕生日に」
04
「あのさ、今日、誕生日なんだって?」
声も出せず、ただ何度も頷く。
照れたように笑うこいつの顔。
俺、今、真正面から見つめてる。
「……ったく……こんな顔して見られてたの、むざむざ見逃してたなんて勿体ねえよな」
こいつは何を言っているんだろう。
つぶやく様な台詞の意味が、理解できない。
頭ワルスギだろ、俺。
「わぷっ」
でっかい、でっかい体に抱きしめられた。
頬を押し付けた胸元から乾いたお日様の匂いがする。
心臓がばくばく言って、耳がぼーっとする。
こいつに触れているすべての部分が、ちりちりと発火してるんじゃないだろうか。
熱い。
熱いって。
心臓壊れちまう。
「なあ」
俺を包んでる暖かい物体から声が直接響いてきた。
「誕生日プレゼント、もらってくれよ」
「……何を?」
「……ぷっ!」
笑われた。
けど、結局、俺は、こいつから俺暦最大のプレゼントを受け取る事に成功した。
「って、さっき、車通っていかなかったか?」
「……えっ? えっ?」
「やべっ、白い……普通車だったかな……」
「俺、馬鹿でかいお前の所為で見えてねえもん、分かんねえし」
「むっ。可愛くない」
「か……可愛くなんてねえし」
「あ、そうだ! お前の気持ちさ、皆知ってるぜ?」
「う? …………えええええええ?????!!!」
「あんだけ遠慮なしに見てたら、誰だって分かるって」
「うそだろおおおお??」
「はっはっ。月曜は、あいつら五月蝿えから、覚悟しとけよ」
「お、……おう……」
なんか、誕生日ってすげえな。