「
痛い」
尻
現役大学生×OB
尻フェチ
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痛い。
尻が痛い。
痛いやら、情けないやら、恥ずかしいやら、悔しいやら。
涙が滲む。
囃し立てる野太い声の合間に、パアン、パアン、と甲高い破裂音が鳴り響く。
「50!」と言うかけ声と共に、ひときわ強い衝撃を受けて漏れた悲鳴は歓声にかき消えた。
こんな事になるのなら来なければ良かった。
ふにゃりと体から力が抜ける。
今年に入って2度目のハンドボール部のOB会。
大学を出て10年が経つが、まめに顔を出している。
宴もたけなわ。
ご機嫌の長老様の提案で行われたゲームの最下位は尻叩き50回の刑。
まんまと最下位をゲットしちゃった訳ですよ、この俺様。
ブービーの現役選手の膝に抱えられて丸出しの尻を叩かれる三十路。
もう、死んでしまいたい。
拍手喝采の中、ズボンをたくし上げてトイレに向かう。
ジンジン痺れる尻を庇いながらヒョコヒョコ歩く背中に、どっと笑いが巻き起こった。
トイレに鍵をかけると鏡の前でソロソロとズボンを下ろす。
鏡に映し出された真っ赤に腫れた尻が痛々しい。
「うう……」
あまりの切なさに嗚咽が漏れる。
「大丈夫っすか?」
「ひっ……」
突然声を掛けられて、息を呑む。
トイレの個室から巨漢がのっそりと姿を現した。
現役のエースストライカーだ。
こちらを見る眠そうな目と見詰め合う。
「尻……」
「あ……あわ……わ……」
先程まで衆人環視に晒されていたとは言え、丸出しの尻を慌てて隠す。
すると前が全開なのに気付いてわたわたと慌てていると、後輩がずずずっと近寄ってきた。
この後ろは扉で、これ以上は下がれない。
それなのに、更に近付いて来る巨漢で視界が暗くなる。
「ひゃっ」
「冷やした方が良いっすよ」
冷たい物が尻に当たって、驚いて巨躯にしがみつく。
振り返ると、濡れたハンカチを当ててくれていた。
「あぁ。ありがと……う?」
ハンカチを押さえている後輩の手が、むにむにと動いている気がする。
いや、間違いなく動いている。
不思議に思って見上げると、喉仏が大きく上下した。
「先輩の尻、キレイっすね」
「…………は?」
ぼそりと呟かれた言葉の意味が理解できずに聞き返す。
すると、尻に置かれた手にぐっと力が入って、体が後輩に引き寄せられた。
ごりっと下腹に硬いものが押し当てられる。
「…………」
「先輩、舐めても良いっすか? 尻」
耳元に吹きかけられる荒い息に、やっぱり来なければ良かったと心底思った。
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居酒屋のトイレから始まるラブストーリー。
しかもターゲットは尻。
色気のない話ですみません。
後輩くんは尻叩きに興奮してトイレに篭もっていたんですね(´∀`)