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痛い



美形不良弟×平凡兄
付き合いたて
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痛い。
腹が痛い。

誰が何と言おうが、痛い。

痛いぞ。

「ほれ、バカ兄貴。今日からから新学期だぜ? いい加減起きろよ」

知ってるよ、バカ弟。
掛け布団を剥がした長身の弟を、じとりと睨みつける。

うん、今日も良い男だ。
入学に合わせて染めた銀色の髪が似合ってる。
俺がプレゼントした赤いピアスが耳を飾っているのを見つけて、思わずにまりと笑ってしまった。

ちゅっ。

「わっ! 何だよっ」

「おはようのちゅう。今日からまた一緒に登校できるな」

「おう」

突然のイケメンのアップは心臓に悪い。
真っ赤になってバタバタもがく。

弟の柔らかい唇の感触が残る唇がくすぐったい。
ニコニコと嬉しそうな弟の笑顔がくすぐったい。


俺の通う高校に、一つ年下の弟が入学してくる。
だから困ってるんだ。


いやいや、弟が悪い訳じゃない。
少しばかりやんちゃだけど自慢の弟だ。

男前だし、運動神経は抜群、実は勉強もできる。
料理も美味し、なにより優しい。
まだ3回しかしたことないけど、……えっちだって上手なんだぞ。

俺も弟と一緒にいられる時間が増えるのは嬉しい。
ものすごく嬉しい。

だけど……。

あ、ほら、やっぱり腹が痛い気がしてきた。


「兄貴、起きないなら、恥ずかしいことしちゃうよ?」

「! 起きる! 起きるよ!」

ベッドから飛び降りた俺に「残念」と笑う弟の色気がハンパない。
うー。
朝から息子が元気ハツラツだぜ。


もぞもぞしていたら、くすりと笑われてしまった。

「兄貴、心配しなくても、あいつらには近寄らないように言っておいたから」

「! ほんとか?」

「うん。登下校も、お昼も、二人っきりだよ」

中学の頃、弟と一緒に行動すると必ずといって良いほど、弟の友達が一緒にいた。
別に、二人っきりじゃなきゃ嫌だとか、わがままを言いたいわけじゃない。
……もちろん二人っきりのほうが良いけど、家に帰れば二人っきりなんだから、我慢だ。

そうじゃなくて、俺の腹痛の原因はその友人達。

そろいも揃って強面。
目が合っただけで死ぬんじゃないかと、毎回思う。

またあの視線に晒された日々の始まりかと、俺の腹はしくしくしていたのだ。


「マジか!! う〜ん、安心したら腹へった! 朝飯朝飯〜」


一階に走り降りて行った俺は、弟の不穏な独り言を知らない。





「オレの影に隠れてフルフルするのも可愛かったけど、これからはもっと可愛い格好させるんだから、他の奴等なんかに見せてやるかよ」




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屋上とか、視聴覚室とか、図書館とか、資料室とか、トイレとか。
お兄ちゃんは大変だ。


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