「ゴーシュ! 聞いて聞いて聞いてー!」
「わわわ、走ったら危ないですよ、ラグ」
「うん、ごめん!」
ハチノスのエントランスにて。ラグ・シーイングはゴーシュ・スエードに前から思い切り抱きついた。抱きついたというよりは、最早タックルに近かったかもしれない。
その力強いタックルに、ゴーシュは一瞬息が詰まるが、それでも嫌な顔をせずにラグを抱きとめた。もっと小さかった頃、数年前に比べて重く、体も大きくなってきたラグに確かな成長を感じることができ、その顔には息苦しいという表情ではなく、むしろ、嬉しそうな表情が浮かんでいる。
「それで、どうしたんですか、ラグ?」
「んー……、あっ! そうだった!」
抱きとめられたまま、心地良さそうにゴーシュの胸に顔を埋めていたラグだったが、その言葉にはっとして顔を上げた。
「あのねっ! 次の仕事ゴーシュとペア組んで行ってこいって!」
「それはそれは。久しぶりですね、ラグとペアだなんて」
「うんっ! もう二年と六ヶ月ぶりだよ。しかも最後に行ったときはユウサリで近場だったしね。でも今回はヨダカだよゴーシュ! ヨダカ! 何かもうすっごく久しぶり!」
「ヨダカですかー」
詳しく聞けば、列車の通っていないヨダカの外れまで配達に行かなければならないということらしい。万年人手不足のハチノスでは、ヨダカの外れの方まで毎回毎回BEEを集配に行かせることができない。それに、ヨダカの外れには、高額な切手代を出せるような人があまりいないため、一ヶ月の間でも出されるテガミの量は数える程なのだ。
それゆえ、ヨダカへの集配は良くて一ヶ月に一度、大抵の場合は三ヶ月に一度しか行われない。
しかし、ユウサリからヨダカへのテガミとなれば事情は変わってくる。
ユウサリの各所には、ヨダカから出稼ぎに来ている人が多く住んでいる。彼らは結構なペースでヨダカで待っている家族へテガミや仕送りをするのだ。それらは短いスパンでも大量にたまっていくのだが、先程と同じ理由で配達されるのはある程度の数が集まるのを待ってから、となっている。
しかし、今回配達までの手続きが滞ってしまっていたらしく、大量の配達要請が来たということだ。
「それで、出発日は決まっているのですか?」
「ん? 今日!」
ラグはにっこりと、最高の笑顔を浮かべた。



・中途半端。
・集配日はいい加減。
・続きが浮かばなかったので没。

2010.09.30 blog


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