「……ユウサリの外れ、ですか」
「うん、そう。行ってくれるかな」
「え、ええ、そりゃあもう、喜んでっ!」
そう、と微笑むラルゴ・ロイド館長の瞳は相変わらず底が見えない。何か企んでいるのかもしれないが、館長から直々にテガミの配達を頼まれたのだ。これはきっと誇れることだ。後で仲間に自慢してやろうと心に決め、そのテガミを丁寧に鞄へしまい込んだ。
「そこに行くまでには結構大変だからね、一週間はみた方がいいよ」
「い、一週間……。ルートがまだ完全ではないということでしょうか」
「いや、ルートは完璧過ぎるくらい完璧。鎧虫の出現ポイントも把握済みだよ。それを避けつつ最短ルートで一週間ってとこ」
これが地図ね、と渡されたそれを見れば、確かに、鎧虫の出現ポイントから休憩に最適な場所まで事細かに記されていた。外れというからどれほどのものかと覚悟していたが、見たところユウサリ中央からは想像していた程は離れていないようだった。しかし、行く手を阻む岩場や森やで、示されている推奨ルートはかなり迂回する形をとっていた。
しかも、想像していたより離れていなかったとはいえ外れは外れ、結構な距離がある。これでは一週間かかるというのも頷ける。
「まぁ、慣れれば三日くらいで行けるようになるさ」
「そんなに、変わるものですか?」
「変わるよ。新米とベテランにはそれくらい差があるってことだねぇ」
「はぁ……。……つまり、ラグ・シーイングは三日くらいで行けるってことですよね」
「ラグ? ラグは確か五日くらいかけてたかなぁ」
「え……」
「ラグもまだまだ新米ってこと」
ロイド館長はまたもや底の見えない笑みを浮かべた。
ラグ・シーイングがまだまだ新米。この言葉はラグ・シーイングこそが最終目標と信じていた俺の認識を突き崩した。

「ま、三日程度で行けるのは速達専用のジギー・ペッパーとあいつぐらいのものなのかもしれないけどね」





 → 3

*******後書き***
まだゴーシュが出てこない……。次あたりにはもう出してあげたいなぁ。

2010.04.03


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